ウクライナのゼレンスキー大統領(左)と握手を交わすバイデン米大統領=イタリア南部プーリア州で2024年6月13日、ロイター

 米国のバイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は13日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の開催地であるイタリア南部プーリア州で会談し、期限を10年間とする安全保障協定に署名した。武器の継続的な供与のほか、米軍の拠点でのウクライナ軍の訓練などを行う。自衛力に加え、停戦後を見据えた抑止力の強化が柱となる。バイデン政権はウクライナを長期的に支える姿勢を鮮明にした。

 協定によると、米国は共有する機密情報の拡大や防衛産業の支援を実施。将来的なウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟に向け、両軍の相互運用性も強化する。ただ、米軍はウクライナの防衛には直接関与しない。ウクライナ側は汚職対策などの改革に取り組む。

 記者会見したバイデン氏は「我々は一歩も引かない。違法な(ロシアの)侵略に共に立ち向かう」と強調。ゼレンスキー氏は「歴史的な日だ。ウクライナの独立以来、両国間で結ばれた最も強力な協定だ」と述べた。ウクライナは安保協定をドイツやフランスなどとも結んでいる。

 また、ゼレンスキー氏は同日、米国との安保協定の署名に先だってG7サミットの会合で演説した。第二次大戦後の米国による欧州復興計画「マーシャル・プラン」を例に挙げ、「我々も明確な計画が必要だ」として復興への支援を求めた。世界銀行の試算では、ウクライナの復興に今後10年間で約4860億ドル(約76兆円)が必要とされている。

 またゼレンスキー氏は、米国やドイツ、フランスなどが供与した兵器でのロシア領内への攻撃を認めたことについて、「(露軍の)空爆に対する防衛が強化された」と謝意を述べた。【バーリ(イタリア南部)松井聡、ベルリン五十嵐朋子】

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