岸田文雄首相は13日午後(日本時間同日夜)、イタリア南部プーリア州で、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援策や協力分野を明確化した2国間協定「日・ウクライナ支援・協力アコード」に署名した。将来、ロシアによる新たな武力攻撃が発生した場合に、日本とウクライナが24時間以内に政府間協議を開いて対応する規定も盛り込んだ。
2国間協定は人道・復興分野でのウクライナ支援を柱としており、地雷除去・がれき処理や女性や子どもを含む人道状況の改善、生活再建、経済復興などを明記した。
憲法上の制約を踏まえ、安全保障・防衛分野では殺傷能力のない防衛装備品や物資の提供、負傷したウクライナ兵の治療など、日本がこれまで実施してきた可能な協力内容を記載した。サイバーセキュリティーや組織犯罪への対応なども盛り込んだ。
主要7カ国(G7)は昨年7月、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、長期的な安全保障を提供するための国際的な枠組みを定めた共同宣言を発表。具体策は各国がウクライナと2国間協定を結んで決めるとしていた。これまでに英独仏など15カ国が協定に署名。日本は昨年10月以降、ウクライナ側と交渉を進めていた。
今年2月にはウクライナの復興に向けた「日ウクライナ経済復興推進会議」が東京で開かれ、両国はデジタルや農業など7分野を中心に56件の協力文書を交換した。日本がこれまでに表明した支援総額は約121億ドルに上る。
岸田氏とゼレンスキー氏が対面で正式会談するのは、日本が議長を務めた昨年5月のG7広島サミット以来、約1年ぶり。【バーリ(イタリア南部)影山哲也】
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