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 大谷翔平選手の元通訳・水原一平容疑者はなぜスポーツ賭博の泥沼にはまってしまったのか。賭博業者の背後にちらつくマフィアと、その巧妙な手口を取材しました。

■違法賭博の背後に…「マフィアがもうかる仕組みを作っている」

1919年のブラックソックス事件 この記事の写真

 1919年、メジャーリーグのワールドシリーズで起きたスポーツ賭博に関する、八百長スキャンダル。全米を震撼(しんかん)させ、関わった8人の選手が永久追放となった裏で…。

アーノルド・ロススタイン氏 アーノルド・ロススタイン氏
「国民的娯楽に泥をぬった」

 事態を動かしていたのは、マフィアでした。それからおよそ100年後に起きた、大谷選手の元通訳・水原容疑者のスキャンダル。

追手門学院大学 吉田良治客員教授 米スポーツ賭博に詳しい
追手門学院大学 吉田良治客員教授

「マフィア側が賭けで有利な立場になって、資金が自分の懐に入る。何も変わってないんでしょうね。今も昔も」 違法賭博の背後にマフィアの影

 水原容疑者がはまった違法賭博の背後にもマフィアの影がちらつくというのです。

 水原容疑者の損失額はおよそ62億円。アメリカのスポーツ賭博に詳しい専門家はこのように話します。

「マフィアたちがもうかる仕組み」 吉田客員教授
「結局は自分(マフィア)たちがもうかる仕組みを作っている」

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■マフィア連想の手口“2つのC”とは

■マフィア連想の手口“2つのC”とは

 マフィアは、ターゲットを巧妙に誘い込むシステムを作っているといいます。

“2つのC”とは 吉田客員教授
「“2つのC”というものが一つ大きなキーワードになってくる」

 マフィアの手口を連想させるという“2つのC”。一体、どういうことなのでしょうか?

一つ目の“C”はクレジット 吉田客員教授
「まずはクレジット(C)。今回の水原容疑者のような現金がなくても、どんどん賭けを続けることができる。いわゆるクレジットカードと一緒。支払いの限度額はこれぐらいだから、そこまでは今即決でお金を払わなくても後々でいいよ、後で払ってくれたらいいよというような形のクレジット」 負債を膨れ上がらせるものも…

 マフィアや胴元のなかには、負債を抱えた者に対しすぐに支払いを求めず、さらに資金の提供を行い、負債を膨れ上がらせるものもいるといいます。

 公表された水原容疑者と違法賭博の胴元とのやりとりのなかでも…。

水原容疑者と胴元とのやり取り 水原容疑者
「もう20万ドル(約3060万円)頼む。母にかけて誓うよ。これが最後だ。何度もすまない」 胴元
「問題ない。手続きしておいた。メリークリスマス」 2年間は“穏やかな金銭のやり取り”

 胴元は簡単に上限額を上げ、資金を提供していたことが分かります。水原容疑者が、スポーツ賭博を始めてからおよそ2年間は、穏やかな金銭のやりとりが複数記されていました。しかし、ギャンブラーにとって心地よい状況が永遠に続くわけではありません。

胴元
「イッペイ、金曜日の2時になった。なぜ折り返しの電話がないんだ。大谷選手が犬を連れて歩いているのが見えるが、彼に話しかけようか。すぐに電話をくれ」

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■“38億円”負債の行方は…

■“38億円”負債の行方は…

“2つ目のC”とは

 資金の回収が滞ってくると、“2つ目のC”が発動するといいます。

“2つ目のC”コレクト 吉田客員教授
「お金がちゃんと運用できるようにしていくには、なかなか回収がうまくいかないとなれば“2つ目のC”コレクトですね」

 資金を貸しまくっていた状態から一転、強気で回収に乗り出すという胴元。さらに、負債が膨らみ、どうしようもない状況に陥ると、ある提案をしてくるといいます。

インサイダー情報の提案も… 吉田客員教授
「最後どうしても払えないなってくると一括じゃなくてもいい条件として、例えばインサイダー情報。これは水原容疑者のような、チームの作戦に直接触れるようなスタッフであれば我々こういう情報を知りたいが、今チームはどうなってる?という情報を仕入れる」 マフィアとの関わりも不明

 水原容疑者が、大谷選手の情報やチームの内情などの情報を流したかどうかは分かっておらず、マフィアが関わっていたかは明らかになっていません。

 では、マフィアがバックにいる場合、まだ回収ができていない水原容疑者のおよそ38億円の負債は、どうするのでしょうか?

「利用価値はほぼない」 吉田客員教授
「有益な情報提供を受けたことによってその負債以上の利益を生み出したというのであれば負債というのはもう全く(胴元側の)投資という形になってくる。もう(水原容疑者の)利用価値はほぼほぼ、ないんじゃないかなって気はします」

(「グッド!モーニング」2024年4月17日放送分より)

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