ブリュッセルの欧州委員会本部ビル=八田浩輔撮影

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は12日、中国から輸入される電気自動車(EV)に対し、メーカーごとに17・4~38・1%の関税を暫定的に課す方針を発表した。中国が過剰な補助金を出して輸出を後押ししていることへの対抗措置だとしている。中国側は反発しており、貿易をめぐり両者の緊張が高まるのは確実だ。

 発表によると、中国自動車大手の比亜迪(BYD)製のEVに17・4%、吉利汽車に20%、上海汽車集団には38・1%の関税をそれぞれ課す。既存の10%の関税にさらに上乗せされる形となる。中国当局との協議が不調に終われば、7月初旬までに課税する方針。

 中国メーカーはEVの低価格化を進めており、欧州市場でも存在感を増している。EUは、中国政府の過剰な補助金が低価格路線を下支えし、公平な競争環境が損なわれている懸念があるとして昨年10月から調査に入っていた。

 中国製EVをめぐっては、米国も5月、中国の過剰生産問題への対抗措置として関税率を従来の4倍に当たる100%に引き上げると発表している。13日にイタリアで開幕する主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも中国の過剰生産問題が取り上げられる見込みだ。

 一方、中国政府は欧米の関税引き上げの動きに対し「過剰生産問題なるものは存在しない」(習近平国家主席)と強く反発。商務省報道官は12日夜、EUの措置について「保護主義だ」と撤回を求め、事態が変わらなければ「中国は自国の権利と利益を守るため、断固とした措置を取る」と対抗措置も示唆した。【ブリュッセル岡大介、北京・小倉祥徳】

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