日本でも大人気の中国の火鍋。この火鍋を使って飛行機を飛ばそうという新たな取り組みが今、世界から注目されています。

唐辛子たっぷりの四川火鍋。中国内陸部・四川省の名物です。

成都市民
「一日食べないと身体の調子が悪くなるんだ」
「週に1回は食べます。(火鍋は)主食ですよ」

火鍋の店は省都・成都市だけで2万軒以上。まさに「ソウルフード」です。

四川の火鍋の特徴はその油で、ひとつの鍋に使われる油の量はおよそ2キロ。これを航空燃料として再利用しようという試みが始まっているのです。

使用済みの油から作られる航空燃料は「SAF」と呼ばれ、中国でもその実証実験が進められています。SAFは既存の燃料に比べ、二酸化炭素の排出量を8割ほど減らせるため「脱炭素の切り札」とも言われ、日本を含め、各国がその導入を競い合っています。

記者
「今、お客さんが食べ終わったこの火鍋がちょうど運ばれてきました。こちらをここに入れて、食べかすと油を分けます」

火鍋店から回収された油は、同じ市内の工場に集められ、最終的に「飛行機の燃料」に生まれ変わります。

記者
「こちらが回収されたばかりの火鍋の油なんですけども、これを処理すると、このように透明でサラサラの油になるということなんです」

以前から油の回収事業を手掛けていたこの会社は、早くからSAFに着目。来年には専用工場を建設し、本格参入する予定です。

しかし、なぜSAFなのか?

四川金尚環保科技会社 葉彬社長
「私たち四川人は火鍋をよく食べるので、原料の面で有利なのです」

SAFの一番の難題は「廃棄油の確保」。四川省では年間およそ30万トンの油が確保できるため、SAF作りに有利だといいます。

まさに火鍋大国ならではのビジネスチャンス。ただ、コスト面の課題も大きいといいます。SAFの価格はまだ、既存の燃料の2倍~3倍しますが、より多くの企業が参入し、技術を競うことで、低価格化は可能だとしています。

四川金尚環保科技会社 葉彬社長
「世界中の飛行機が、私たちのSAFを使うかもしれませんね」

地元で愛されてきた火鍋。世界の空を変える日は来るのでしょうか?

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