バイデン米大統領(左)と次男ハンター氏=東部デラウェア州で2024年6月11日、ロイター

 バイデン米大統領の次男ハンター氏(54)が銃を購入した際に薬物依存を申告しなかったなどとして罪に問われた裁判で、東部デラウェア州の連邦地裁の陪審は11日、3件の罪状すべてで有罪とする評決を出した。現職大統領の子が有罪評決を受けるのは初めて。11月の大統領選への影響は限定的との見方が強い。

 バイデン氏は声明で「私は大統領であると同時に父親でもある。息子を愛している」と表明。結果は受け入れるとした上で「ハンターが控訴を検討している司法手続きを尊重し続ける」と述べた。バイデン氏は6日の米ABCテレビのインタビューで、ハンター氏が有罪評決を受けた場合には恩赦を与えない考えを示している。

 米メディアによると、量刑は最高で禁錮25年の可能性があるが、初犯で銃が暴力のために使われていないことなどから実際には軽い刑になる見通し。担当判事は量刑言い渡しは通常4カ月後との見通しを示しており、大統領選が行われる11月5日の約1カ月前になりそうだという。

 起訴状によると、ハンター氏は2018年10月12日ごろ、デラウェア州の銃販売店で、自身の薬物依存について申告せず、書類に虚偽の記載をして回転式拳銃1丁を購入。不法に拳銃を約11日間所持したとされる。

 ハンター氏は21年に出版した回顧録で、過去にアルコール依存症や薬物依存症と闘っていたことを明かしている。ただし、裁判では銃を購入した時期は薬物を使用していなかったなどとして無罪を主張。検察側はハンター氏が元交際相手に当時送ったメッセージなどから薬物を使用していたことが裏付けられると主張した。

 捜査を指揮したデビッド・ワイス特別検察官は評決後、記者団に「事件は被告が依存症に陥っている間に行った違法な選択に関するものだ」と強調。「この国で法の上に立つ者はいない。しかし、ハンター氏は同じ行為で有罪評決を受けた他の市民よりも責任を負うべきでない」とも語った。

 米メディアは3日の公判開始以降、裁判の様子などを詳しく報じてきた。ハンター氏は脱税など連邦税法違反の罪でも起訴されており、西部カリフォルニア州の連邦地裁で9月に初公判が予定されている。【ワシントン西田進一郎】

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