アフリカ・ガーナの1歳の男の子が先月、世界最年少の男性画家としてギネス認定された。絵を描き始めたのはわずか生後6カ月。母親を取材すると、画家としての才能が開花する意外なきっかけがあった。
■教えてないのに…筆の使い方や配色も
先月13日、西アフリカのガーナで新たなギネス世界記録が誕生した。
認定されたのは、エース・リアム君。「世界最年少の男性画家」として、これまで3歳だった記録を大幅に更新。その記録、なんと1歳と152日だ。
ガーナで暮らすエース君と画家でもある母親を取材した。
母のシャンテル・クウクア・エガンさんと… この記事の写真 母 シャンテル・クウクア・エガンさん(25)「私は母親の、シャンテル・クウクア・エガンです。この子が、世界最年少アーティストの記録保持者です」
この日のエース君は、ご機嫌!
エガンさん「この子は何かを見せようとしています」
水色の絵の具をキャンバスに大胆に垂らし、そのまま手を使い塗っていく。
エース君が絵を描き始めたのは、生後6カ月の時だったという。
エガンさん「私が絵を描いている間、彼の気をそらす方法を探していました」
シングルマザーのエガンさん。絵の制作と子育てを両立させることに悩んでいた。
絵の具で遊んでいたある時、絵の具とキャンバスを床に置いておくと、エース君が絵の具まみれになって遊んでいたという。好奇心のまま絵の具で表現するエース君にエガンさんは才能を感じた。
エガンさんの助言は… エガンさん「11カ月の時、教えていないのに筆の使い方や配色も分かっていたことに衝撃を受けました。私ができる助言は、絵の具を顔に塗らないことや、食べちゃダメよということぐらいです」
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■作品の依頼も 「思考や知識が役に立つ」■作品の依頼も 「思考や知識が役に立つ」
ギネス記録認定のためにギネス記録に認定されるには、展覧会に出展し、作品が売れる必要がある。
エース君の将来につながるのではないかと、エガンさんは今年1月ガーナで開催された展覧会にエース君の絵を出展。すると、10作品中9点が売れ、ギネス世界記録に認定された。
エース君の絵の価値について、デザイナーとしてパリコレで活躍した一方、幼少より美術を学び、アートディレクターとしての顔を持つCoco*さんに聞いた。
「前向きな衝動が力強い」 Coco*さん「彼の絵は、これから生きていくぞという前向きな衝動が力強いタッチになっている。色のバランスとかすごくのびのびとしていて好きなタイプだなって思いましたね。小さいお子さんのピュアな部分が色にも表れている」
エース君の作品は日本円で1万5000円から15万円で売れたといい、ギネス認定を受けて以降、作品の依頼が入っているという。
エガンさん「私は、彼にアーティストになってもらいたくてこうした機会を設けているわけではありません。この子は成長して、アーティストにならないかもしれませんが、この思考や知識が役に立つはずです」
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■国を挙げて芸術分野を産業に 施設も建設■国を挙げて芸術分野を産業に 施設も建設
西アフリカ・ガーナとはガーナでは芸術を文化だけではなく、産業にしようという取り組みが行われている。
西アフリカに位置するガーナは日本のおよそ3分の2ほどの面積で、人口はおよそ3300万人。ビジネス・インサイダー・アフリカによると、ガーナの平均月収はおよそ11万7000円だという。
主な産業は、チョコレートの原料となるカカオ豆の栽培のほか、金や石油の輸出も行っている。カカオは木の病気の蔓延(まんえん)や金の違法採掘により木が伐採されるなどして、壊滅的な状況になっていると報じられている。
「野口英世博士ストリート」も…ちなみに日本との関係でいうと、福島県出身で黄熱病の研究で知られる野口英世が晩年、研究を行った場所としても知られている。ガーナの日本大使館前は野口英世博士ストリートと名付けられているそうだ。
そんなガーナでは、国を挙げて芸術作品を使って雇用を生み出そうという取り組みを行っている。
クリエーティブ・アート法が制定ガーナメディアによると、2020年クリエーティブ・アート法が制定され、画家などの芸術家の雇用の創出や収入の確保を支援することが盛り込まれているという。
また、ガーナ政府は芸術作品を海外に売り込むためのイベント、サウンドアウトプレミアムアートショーを開催するなど、国を挙げて芸術分野を産業にしようという政策が進められている。
クリエーティブアーツハイスクールの建設さらに今、若者が芸術を専門的に学べるクリエーティブアーツハイスクールの建設も進められているそうだ。今月、ガーナの観光芸術文化相が建設現場を訪れ、男女の寮、劇場、図書館、病院も完備された近代的な施設だと語っていたという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年6月6日放送分より)
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