レッサーパンダの繁殖数で全国有数の実績を誇る鯖江市の西山動物園。飼育されていたオスのレッサーパンダ1匹が、繁殖のために国外の動物園に移されることになり、3日、生まれ育った園を後にしました。
13匹のレッサーパンダが飼育されている西山動物園で2日、ひときわ多くの観客が集まっていたのは、雄の「カイト」くん。スヤスヤと気持ちよさそうに眠るカイトくんの姿を見て、カメラを手にした女性は「カイトくんが最終日ということで、お別れに。カイトくんの勇姿を収めに来た」と話していました。
実はカイトくん、繁殖のため2歳の誕生日を前に、海外の動物園に移ることが決まったのです。最後の公開日となった2日は、別れを惜しんで大勢のファンが訪れました。「生まれた当初はお母さんの後ろをついて回って、甘えん坊な感じだった。最近は活発で立派な青年に育って嬉しい」と話すのはカイトくんの名付け親、山本弥生さんです。“大空を舞うカイト(凧)のように、たくましく元気で伸び伸びと育ってほしい”との願いを込めたといいます。山本さんは「鯖江で会えるのが、きょう最後だということで、どうしても元気な姿を目と心に焼き付けたいという思いで…」と話していました。
カイトくんを見ていた子供たちも「かわいい子だった」「また戻ってきてほしい」などと別れを惜しんでいました。
そして移動日の3日。ケージに入れられたカイトくんは、少し緊張している様子でした。
西山動物園飼育員・大出章平さん:
「生まれた時から成長を見守ってきたのでさみしい気持ちはあるが、カイトのための搬出でもある」
カイトくんが移るのは、新たにレッサーパンダの飼育を始めるインドネシアの動物園です。東京の多摩動物公園を経由して、現地へと向かいます。
飼育員らが見守る中、カイトくんは生まれ育った西山動物園を去っていきましたカイトくんがいなくなった園内には、ファンから寄せられた数多くのメッセージが残されていました。
飼育員の大出さんは「新しい場所でも元気で頑張ってほしい。ゆくゆくは繁殖を目的とした移動なので、子孫を残してくれたら嬉しい」と話していました。
レッサーパンダは、IUCN=国際自然保護連合が、希少動物のリストで指定する絶滅危惧種です。ワシントン条約でも、国際的に厳しく取引が制限され、手厚く保護されています。レッサーパンダのうち、カイトくんと同じ種類の「シセンレッサーパンダ」は、西山公園を含む全国61の施設で242頭が育てられていて、日本は世界一の飼育数を誇ります。
2017年の数字では、日本も含めた世界での飼育数は約350匹で、実に7割を日本で飼育していることになります。レッサーパンダの保護や繁殖には、動物園の国際的なネットワークで取り組んでいます。西山公園からの海外移送は今回4年ぶり2例目となりました。
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