会談前に握手を交わす(左から)木原稔防衛相、オースティン米国防長官、韓国の申源湜国防相=シンガポールで2024年6月2日(防衛省提供)

 木原稔防衛相は2日、訪問先のシンガポールで、米国のオースティン国防長官、韓国の申源湜(シンウォンシク)国防相と対面で日米韓3カ国防衛相会談を実施した。3カ国は、北朝鮮の核・ミサイル開発を踏まえ、陸海空、サイバーなど複数領域にまたがる共同訓練「フリーダム・エッジ」を新設して今夏に実施することや、朝鮮半島やインド太平洋地域の脅威課題を想定した机上演習を実施することで一致。政策協議や情報共有、共同訓練などの3カ国の防衛協力を「制度化」することも決定し、合意内容を盛り込んだ共同声明を発表した。

 日米韓防衛相会談は、昨年11月以来、7カ月ぶり。木原氏は会談後、同行記者団に「日米韓3カ国の連携は、地域の平和と安定にとって不可欠であり、引き続き協力を強化していく」と語った。

 共同声明は北朝鮮について、軍事偵察衛星打ち上げや弾道ミサイル発射、ロシアへの武器輸出を例示し「累次の国連安保理決議に明白に違反する」と非難。核実験が強行された場合、「国際社会による力強い断固たる対応により対処されることを再確認した」と明記した。

 また、昨年12月に稼働した北朝鮮のミサイル警戒情報を3カ国で即時共有するシステムを今年末までに「更に最適化する」と表明。核の傘などで日韓両国を防衛する「拡大抑止」に関する「米国の確固たるコミットメント」を再確認した。

 南シナ海情勢を巡っては、中国を名指しして「不法な海洋権益に関する主張を後押しする危険かつ攻撃的な行動」と記述。インド太平洋地域の水域で「いかなる現状変更の試みにも強く反対する」と強調した。「台湾海峡の平和と安定の重要性」に言及し、両岸問題の平和的解決を促した。

 ロシアのウクライナ侵攻については「領土一体性や主権の原則に対する深刻な侵害」と非難し、ウクライナ支持を確認した。

 3カ国の防衛協力としては、今年から防衛相会談に加え、参謀総長会議と防衛実務者協議を持ち回りで順次開催する。【シンガポール中村紬葵】

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