トランプ氏の有罪評決について述べるバイデン米大統領=ホワイトハウスで5月31日、AP

 バイデン米大統領は5月31日、ホワイトハウスで演説し、トランプ前大統領が不正会計処理事件での有罪評決を「不正な裁判だ」と主張したことを巡り、「評決が気に入らないからといって『不正だ』と言うのは向こう見ずで、危険で、無責任だ。誰であろうと、米国の司法制度を壊すことを決して許すべきではない」と批判した。11月の大統領選に向け、選挙や裁判で負けると「不正だ」と言い募るトランプ氏の資質を問題視していくとみられる。

 トランプ氏が30日に有罪評決を受けて以降、バイデン氏が公の場で話すのは初めて。今回の裁判について「法を超越する存在はないという米国の原則が再確認された」と指摘。「他の裁判と同じように選ばれた12人の陪審が、5週間証拠を調べ、慎重に検討した後、全会一致で評決に至った。トランプ氏は弁護の機会を与えられたし、上訴の機会もある。それが米国の司法制度のあり方だ」と述べた。

 トランプ氏は、民主党員であるマンハッタン地区検事(公選職)が起訴を主導したことなどを根拠に「政治的迫害だ」と強調。バイデン氏が裏で糸を引いているとの根拠のない陰謀論も主張している。バイデン氏は31日のFOXニュースの取材で、この陰謀論について「私にそんな権力はないだろう」と回答。大統領選で敗れた場合、「報復」として自身が何らかの事件で訴追される可能性については「全く心配していない。悪いことは何もしていない。(司法)制度は依然として機能している」と述べた。【ワシントン秋山信一】

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