トランプ前米大統領の有罪評決を受け、裁判所の外で衝突するトランプ氏支持者と反トランプ氏のデモ隊=米ニューヨークで2024年5月30日、ロイター

 ドナルド・トランプ前米大統領(77)が30日、業務記録を改ざんした罪で有罪評決を受けた。11月の大統領選をにらむ共和、民主両党の反応は、政治的対立そのままに真っ二つに割れている。

 共和党のジョンソン下院議長は声明で「今日は米国の歴史において恥ずべき日だ」と批判。民主党が対立する党の指導者を「ばかげた罪」で有罪にしたのだとし、「これは純粋に政治的な運動であり、法的なものではない」と主張した。下院司法委員長のジョーダン議員も、評決は「偏った裁判官」や「党派的な検察官」によるもので、「司法の茶番だ」と切り捨てた。

 若手有望株の一人で、トランプ氏の副大統領候補としても名前があがるバンス上院議員は、評決を「絶対的な司法の誤謬(ごびゅう)だ」としたうえで、「2024年の(大統領)選挙は腐敗した裁判官や検察官ではなく、米国民によって決定されると信じている」と表明した。

 ただ、同党で反トランプ氏の立場をとる政治団体「リンカーン・プロジェクト」は、「今、米国民は自問する必要がある。この危険な犯罪者が当選した場合、彼が国家を守り、自分たちの利益を守ってくれると本当に思っているのだろうか」などと懸念を示す声明を出した。

 一方、民主党で上院司法委員会に所属するブッカー議員は声明で「今日、我々の法制度は、前大統領といえども、法の上に立つ者はいないことを再確認した」とし、下院ナンバー2のクラーク院内幹事は声明で「今日、法の支配が支持された」と評決を評価した。

 裁判に対する米国内の関心は極めて高く、米メディアは速報で大きく伝えた。米国の大統領経験者として初めての有罪評決であることや、罪状34件全て有罪と判断されたことなどに報道の重点が置かれた。

 米CNNテレビなど主要メディアは、裁判が結審を迎えた28日以降、法廷が開かれている日中は多くの時間をこの裁判報道に割き、裁判所周辺からの報告を交えて「実況中継」さながらに伝えてきた。

 非公開の評議が2日目に入った30日も、午前の開廷以降は評決が出るのを待ちながら裁判の進捗(しんちょく)状況を報道。夕方に評決が出ると、「トランプ氏、34の罪状全てで有罪」(FOXニュース)などと速報し、その後も報道内容を次々と更新していった。【ワシントン西田進一郎】

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