中国・アラブ諸国協力フォーラムの閣僚級会議に出席した中国の習近平国家主席(右)=北京市で2024年5月30日、ロイター

 中国・アラブ諸国協力フォーラムの閣僚級会議が30日、北京市で開かれた。パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘が続く中、中国の習近平国家主席は開幕式での基調演説で「戦争を無制限に続けてはならず、正義が永久に不在であってはならない」と指摘した。アラブ諸国との結束をアピールし、イスラエルの後ろ盾である米国をけん制した。

 中国外務省によると、習氏は演説でイスラエルとパレスチナの「2国家共存」による解決を主張し、パレスチナの国連加盟を支持する中国の立場を改めて表明した。

 ガザ情勢を巡っては、中国はアラブ諸国にとどまらず幅広い国々と共同歩調を取ろうとしている。習氏は5月上旬にフランスを訪問した際、マクロン大統領と中東情勢に関する共同声明を発表し、イスラエルによるガザ地区南部ラファへの攻撃に反対した。

中国・アラブ諸国協力フォーラムの閣僚級会議で演説する中国の習近平国家主席(中央奥)=北京市で2024年5月30日、ロイター

 習氏の発言には、深刻さを増す人道危機にもかかわらずイスラエルを支え続ける米国の信頼性を低下させ、自国に有利な外交環境を作る思惑があるとみられる。

 中国は近年、中東地域で存在感を増しており、習氏は30日の演説でもさらなる関係の深化に意欲を示した。アラブ諸国からの資源輸入や経済圏構想「一帯一路」を通じたインフラ面での連携に加え、人工知能(AI)、脱炭素、宇宙開発などの新たな領域で協力を拡大すると表明した。今後、毎年200人の政党指導者の訪中を受け入れる計画も明らかにし、政治面での影響力の確保も狙う。

 中国外務省によると、中国・アラブ諸国協力フォーラムは2004年に発足し、中国とアラブ連盟で構成。今回の会議にはエジプトのシシ大統領、バーレーンのハマド国王ら国家元首4人も参加した。【北京・河津啓介】

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