5月27日、日本政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)で、北朝鮮から発射された可能性があるとしていたミサイルが日本に飛来しないとみられるとして、沖縄県を対象とした避難の呼び掛けを解除した。写真は23年11月、Jアラートを伝えるテレビ画面。(2024年 ロイター/Issei Kato)
北朝鮮は27日夜、2基目となる軍事偵察衛星を打ち上げたものの、空中で爆発して失敗した。朝鮮中央通信は、新開発の液体燃料エンジンに原因があった可能性があるとする当局者の発言を伝えた。沖縄県に避難を呼び掛けた日本政府は、6月4日午前0時までの打ち上げ通告期間内に追加の挑発行為があるとみて警戒を続けている。
朝鮮中央通信は、「衛星を積んだ新しいロケットの打ち上げは、第一段階の飛行中に空中で爆発して失敗した」とする北朝鮮当局者の発言を伝えた。新たに開発した液体燃料ロケットエンジンが原因の可能性があるものの、他の要因についても調査を進めているとした。
韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は27日午後10時44分に北西部沿岸の東倉里から飛翔体を発射。日本政府は午後10時46分に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発出したものの、ミサイルが飛来する可能性はなくなったとして午後11時03分に避難の呼び掛けを解除した。
日本の林芳正官房長官は会見で、「北朝鮮が衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行したが、黄海上空で消失した」と語った。宇宙空間に物体は投入されていないとみらえるとした。日本は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。
韓国軍は、発射から2分後に多数の破片を海上で探知したとしている。
北朝鮮は27日未明、6月4日午前0時までに人工衛星を打ち上げると日本の海上保安庁に通告。ロケットが落下する可能性がある海域として、黄海の2カ所とフィリピンのルソン島東方の海域を指定した。
打ち上げを受けて28日未明に会見した木原稔防衛相は「失敗した可能性を含めて詳細は日米韓で分析中」だと述べた。「通告期間内にさらなる挑発行為に出る可能性はある」として、警戒に万全を期す考えを示した。
日中韓は同日に3カ国首脳会談を開き、岸田文雄首相と韓国の尹 錫悦大統領は打ち上げの中止を呼び掛けていた。
北朝鮮は昨年11月、初の偵察衛星を打ち上げたと発表。今年さらに3基を打ち上げる計画を明らかにしていた。
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