イスラエルの戦時内閣の閣議=14日、テルアビブ(イスラエル政府/アナトリア通信提供、ゲッティ=共同)

イランは13日夜から14日未明にかけてイスラエルへの大規模攻撃を実施した。1日に在シリア大使館がイスラエルに空爆されたことへの報復だと主張。イスラエルは300以上のミサイルや無人機が発射され、「99%」を迎撃したと表明。イランへの反撃の検討に入った。国際社会では中東情勢のさらなる緊迫化に懸念が高まっている。

イスラエルメディアによると、同国のネタニヤフ首相は14日、戦時内閣を招集し、イランへの報復は支持された。時期や攻撃規模などを巡り意見が割れており、再び協議される見通し。

イスラエル軍報道官によると、イランは無人機170機、弾道ミサイル120発、巡航ミサイル30発を発射。米英仏やヨルダンも協力し、多くを迎撃したが、南部の軍基地で小規模の被害が出たほか、少女1人が負傷した。親イラン派組織が拠点を置く周辺国からも攻撃があった。

イランのバゲリ軍参謀総長は「作戦は終結した」と表明。一方、ネタニヤフ氏はイランの攻撃を受け「共に勝利しよう」とX(旧ツイッター)に投稿し、イスラエルのガラント国防相はイランとの戦闘が「終結はしていない」とした。バイデン米大統領はネタニヤフ氏と電話で会談し、ロイター通信によると報復攻撃に参加しないと伝えた。

中東では昨年10月のパレスチナ自治区ガザを巡る戦闘開始以降、紛争が周辺に拡大することが懸念されている。先進7カ国(G7)は14日、オンライン形式で首脳会議を開催。イランによる攻撃を「最も強い言葉で明確に非難する」との声明を出し、さらなる緊張激化の回避に向けて協力を続けると強調した。米政府高官によると、イランへの制裁も検討された。

国連安全保障理事会も14日に緊急会合を開き、多くの国がイランとイスラエルの双方に自制を求めた。(カイロ 佐藤貴生、ワシントン 渡辺浩生、ニューヨーク 平田雄介)

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