スナク英首相と妻のアクシャタ・ムルティさん=ロンドンで2024年5月26日、ロイター

 スナク英首相(保守党)は25日夜、英紙メール・オン・サンデー(電子版)に寄稿し、今後は18歳の国民を対象に12カ月間の兵役の導入を検討すると表明した。強制的な徴兵制ではなく、兵役はあくまで複数の選択肢の一つで、警察や消防、医療機関での社会奉仕活動も選べる。7月4日の総選挙で保守党が勝利した場合、制度化を進めるという。

 ただ、保守党は支持率で最大野党・労働党に大差をつけられており、制度が実現するかは不透明だ。

 スナク氏は寄稿の中で、「若者は国のためにもっと貢献すべきだ」と主張。自身の2人の娘も国に奉仕させると述べた。英メディアによると、労働党はこの計画について「財源がない」と批判している。

 英国の徴兵制は1960年に廃止され、現在は志願制だ。だがロシアのウクライナ侵攻に伴う欧州の安全保障環境の悪化を受け、最近は英陸軍幹部らから事実上の兵役復活を求める声が上がっていた。

 英国では兵役への抵抗感が根強い。英調査会社ユーガブの1月の世論調査では、40歳以下の成人の38%が「戦争が起きても兵役を拒否する」と回答。「兵役に応じる」(7%)、「行きたくないが、呼ばれたら応じる」(21%)を大きく上回った。【ロンドン篠田航一】

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