5月24日、ロシアのプーチン大統領は、2年あまりになるウクライナ侵攻について、現時点でロシアが制圧する地域を認定する形で停戦する用意がある。複数の関係筋が明らかにした。モスクワで23日、代表撮影(2024年 ロイター)

<ウクライナ側については、ゼレンスキー大統領が政権を握っている間はロシアとの合意は成立しないとの見方も>

ロシアのプーチン大統領は、2年あまりになるウクライナ侵攻について、現時点でロシアが制圧する地域を認定する形で停戦する用意がある。複数の関係筋が明らかにした。ただウクライナと西側諸国が応じない場合は戦闘を続ける方針という。

6月中旬にはウクライナ和平を目指す国際会議がスイスで開催される。スイスはロシアを招待していない。

ロシア政府上層部に近い情報筋によると、プーチン大統領は、かつてまとまりかけた停戦合意が西側の干渉で台無しになったことを苦々しく思っている。 情報筋は「プーチン氏は必要なだけ戦うこともできるが、戦争を凍結するために停戦する用意もある」と語った。

ペスコフ大統領報道官は、ロシアは目標達成のために対話に応じると繰り返し明言しており、ロシアは「永遠の戦争」を望んでいないと述べた。

先週、新国防相に経済学者のアンドレイ・ベロウソフ氏が就任。西側の軍事・政治アナリストからは、侵攻の長期化を受け、ロシア経済を戦時体制に置くための人事との指摘も出た。

しかし、情報筋によると、プーチン大統領は、現在の勢いを利用して戦争を終わらせたい意向。これまでの戦果で、国民に勝利をアピールするのに十分だと考えているという。

新たな攻勢を掛ける場合、国内で兵士をさらに集める必要が出てくるとも認識している。以前の動員で国民から強い反発が出て支持率を落としたこともあり、追加動員は望んでいないという。

プーチン大統領は、停戦合意にはいかなる戦果も組み入れる方針に変わりないが、現在の占領地域で妥協する用意がある。

「プーチン大統領は、われわれが勝利した、北大西洋条約機構(NATO)から攻撃を受けたが主権を保った、クリミアへの陸路を確保していると言うだろう」と関係者の一人は述べた。

その方針で停戦した場合、2022年9月にロシアに編入したウクライナのドネツク、ルガンスク、ザポロジェ、ヘルソンの4州のかなりの部分を保有することになるが、完全支配とはならない。

ペスコフ氏は、ロシア憲法に基づきロシアの恒久的な一部となっている4州の返還は論外と述べた。

プーチン大統領は24日、訪問先のベラルーシで行った記者会見でロイターの報道内容に関する質問に対し、和平交渉を再開すべきとの考えを示した上で、交渉は「現地の現実」と戦闘開始初期に合意された計画に基づいて行われなくてはならないと述べた。

ウクライナのクレバ外相はXへの投稿で「プーチン大統領は現時点でウクライナに対する侵攻を終わらせるつもりはない」とし、プーチン氏は側近を使って戦争停止の用意があるという「偽りのシグナル」を発し、来月のウクライナ和平会議を妨害しようとしているとの考えを示した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、全面侵攻が始まった2022年にプーチン氏とのいかなる交渉も「不可能」と正式に宣言する法令に署名。プーチン氏の条件に基づく和平は実現できないとの考えを繰り返し表明している。

ロイターが取材した関係筋の1人は、ロシアがウクライナを迂回(うかい)して米国と合意しない限り、ゼレンスキー氏がウクライナの政権を握っている間は合意は成立しないとの見方を示した。

[ロイター]


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