トゥアプセにあるロシアの石油大手ロスネフチの製油所(2021年8月) Vladfotograf-Shutterstock

<黒海沿いのノヴォロシースク、クリミア半島のセヴァストポリにあるロシアの軍港も空からの大規模攻撃の標的に>

ウクライナの無人機(ドローン)が5月17日午前、黒海沿岸では唯一のロシアの大規模製油所を攻撃した、と当局者が話した。

【動画】黒煙と激しい火柱が...ウクライナのドローンが黒海沿岸のロシア製油所に突っ込む劇的瞬間

攻撃を受けたのは、ロシア南部の都市トゥアプセにあるロシア石油大手ロスネフチの製油所だ。攻撃を報告した地元当局者は、製油所で炎があがり、消防隊が消火にあたっていると話した。

黒海のノヴォロシースクとクリミア半島のセヴァストポリにあるロシアの軍港も、空からの大規模な攻撃の標的になった。ロシア国防省によれば、攻撃には少なくとも100機のドローンが関わっていたという。

ウクライナは2024年に入って以来、ロシアの製油所への攻撃を増やしている。ガソリン生産を妨げることが狙いだ。開戦からこれまでに、ロシアの製油所に対して実施され、成功した攻撃はロシア最大規模の製油所を標的にしたものも含め、少なくとも13回にのぼるとウクライナは述べている。

1929年に建造されたトゥアプセの製油所はロシアの黒海沿岸に位置し、ロシア屈指の歴史ある製油所だ。中国、トルコ、マレーシア、シンガポールなどの国に燃料を供給している。

テレグラムチャンネルの「ショット(Shot)」は、トゥアプセで空襲警報サイレンが鳴り響いたと伝えている。

ロシア治安機関とつながりがあるとされるロシアのテレグラムチャンネル「バザ(Baza)」によれば、今回の夜間攻撃では、他の3つの製油所もドローンの残骸によって損傷を受けたという。

クラスノダール地方のヴェニアミン・コンドラチェフ知事はテレグラム上で、ウクライナが夜間にノヴォロシースクの「民間施設の攻撃を試みたが成功しなかった」と述べた。

コンドラチェフは、防空システムによって10機を超えるドローンを迎撃したが、落下した破片から火の手があがったと述べ、犠牲者はいないと付け加えた。

「ノヴォローシスクの住民には、冷静さを保ち、わが軍の防空システムの写真や動画をソーシャルネットワーク上に投稿しないようお願いする」とコンドラチェフは書いている。

「セヴァストポリ特別市知事」を名乗る親ロシア派幹部のミハイル・ラズボジャエフは、港湾都市であるセヴァストポリに対してウクライナが攻撃を試みたと報告した。ラズヴォジャエフによれば、ドローンの破片によって変電所が損傷を受け、同市の一部が停電したという。

報告された攻撃についてウクライナ側はコメントしていない。本誌は電子メールでウクライナ政府当局に連絡をとり、コメントを求めている。

テレグラム上のニュースチャンネル「ASTRA」は17日、ウクライナのドローンがトゥアプセの製油所に接近する瞬間をとらえたものとされる映像を公開した。

ロシアによるウクライナ侵攻を扱う安全保障専門家マリア・アヴデーエワ(Maria Avdeeva)はX(旧ツイッター)で動画を共有しながら、「ノヴォロシースクのロシア黒海艦隊の基地の他、石油ターミナルとトゥアプセ製油所がドローンによる攻撃を受けた」と書いた。

ウクライナのオリハ・ステファニシナ副首相は3月、ウクライナにとってロシアの製油所は、この戦争における正当な軍事攻撃目標であると述べた。そうした攻撃は通常、ウクライナ保安庁やウクライナ国防省情報総局が関与を公言している。

ロシアは、自国領土にドローンでテロ攻撃を仕掛けたとしてウクライナを非難している。

(翻訳:ガリレオ)

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