太平島、南沙諸島

 台湾の立法委員(国会議員)10人が18日、南シナ海・南沙(英語名・スプラトリー)諸島で台湾が唯一実効支配する太平島を訪問した。中国に融和的な最大野党・国民党や第三勢力・台湾民衆党に所属する議員で、「主権を守る決意を示す」と強調している。

 太平島は中国やベトナムなども領有権を主張する南沙諸島の中で最大の面積がある。台湾は滑走路やふ頭を建設し、兵士を常駐させている。議員らは18日朝に軍輸送機で訪れ、軍の訓練やふ頭を視察した。

 台湾では与党・民進党の頼清徳政権が20日に発足する。対米関係を特に重視する民進党政権は、中国の進出で緊張が高まる南シナ海情勢がさらに複雑になることは避けたいとみられる。一方、1月の立法委員選挙で第1党となった国民党は「ねじれ国会」となる頼政権下での政局もにらみ、「主権を守る」という強い姿勢をアピールする狙いだ。

 太平島については、仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が2016年に南シナ海の権益を巡る中国の主張を否定した判決の中で、島ではなく「岩」であると判断。台湾はこれを認めていない。【台北・林哲平】

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