中国指導部が執務する政治の中枢「中南海」で、お茶を飲みながら懇談するロシアのプーチン大統領(左から2人目)と中国の習近平国家主席(右端)=北京で16日、スプートニク通信・ロイター

 中国の習近平国家主席は、16~17日の日程で訪中したロシアのプーチン大統領を厚遇し、米国への対抗姿勢をアピールした。ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、中露首脳は16日に北京で「さまざまな形式で12時間以上」(露タス通信)を一緒に過ごしたといい、絆をさらに深めた形だ。プーチン氏は17日には、ロシアと国境を接する黒竜江省ハルビンも訪問した。

 習氏は16日の公式会談などの後、指導部が執務する北京の政治の中枢「中南海」にプーチン氏を迎えた。ウクライナ問題など「戦略的な課題」について深く意見を交わしたという。中国国営中央テレビは、両氏が通訳だけ連れて敷地内を散策したり、お茶を飲んだりする親密ぶりを伝えた。

 中国外務省の17日の発表によると、中南海での小規模会合で、習氏は「ウクライナ問題の政治的解決を促進するため、建設的な役割を果たしていく」と述べ、和平の「仲介」に前向きな姿勢を改めて強調した。

 習氏は根本的な解決策として「新たな安全保障の枠組みの構築を進めるべきだ」と主張し「ロシアとウクライナの双方が承認し、公平に議論する平和会議を適切な時期に開催することを支持する」とも述べた。プーチン氏は「中国の公正な立場を高く評価する」と応じたという。

 中国としては米国との長期的対立を念頭に、国際社会からの視線も意識しながらウクライナを巡る外交を展開しているとみられる。

 6月中旬には、スイス政府がウクライナのゼレンスキー大統領の要請で「平和サミット」を開催する。ロシアは不参加の見込みだが、中国がどのように対応するのかが注目される。

中国とロシアの企業が出展する「中露博覧会」を視察するプーチン露大統領(手前左)ら=黒竜江省ハルビンで5月17日、スプートニク通信・ロイター

 一方、プーチン氏は17日、ハルビンに移動し、中露企業が出展する「中露博覧会」の開幕式に出席した。演説で「ロシアに進出し現地生産する中国企業に対して優遇措置を用意する」などと語り、投資を呼びかけた。

 第二次大戦で対日参戦して死亡したソ連軍兵士の記念碑も訪れ、献花した。日本軍と戦い、戦勝国となった歴史を共有する中露の関係を強固にする狙いがあるとみられる。【北京・岡崎英遠】

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