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<ロシア軍の兵士が一般車両の通行をせき止めてロケット砲を発射する様子を捉えた動画に、ロシア国内から非難の声が続々>

ロシア軍の兵士が、ウクライナとの国境に近い(ロシア西部)ベルゴロド州から多連装ロケットシステム(MLRS)を発射する様子を捉えた動画が、ソーシャルメディア上で大きな注目を集めている。発射しているのは交通量の多い一般道の路上で、その目の前では一般車両が行列を作って攻撃が終わるのを待っているという非常に危険な状況だ。

■【動画】ロシア軍は市民を「人間の盾にしている」 国内から批判殺到した民間人の目の前でロケット砲を連射する映像

5月15日に公開されたこの動画には、ロシア軍が多連装ロケットシステム「BM21グラート」を使用してウクライナ東部のハルキウ(ハリコフ)に向けて攻撃を行っており、民間人が乗った複数の車が「通行止め」が終わるのを待っている様子が映っている。

ロシアの独立系メディア「IStories」は、動画の位置情報から撮影場所はベルゴロド州シェベキノ近郊の道路で、動画の中のMLRSはロシア軍がこの1週間、猛攻撃を展開しているハルキウ北部に向けて発射されたものだと特定した。ロシア軍はこの1週間、ハルキウに猛攻撃を仕掛けている。

ウクライナとの国境近くに位置するベルゴロド地方には、ロシア軍の基地や訓練場がある。ロシアとウクライナの戦闘が国境を越えてロシア国内にも広がりつつあるなか、同地域はこれまでに複数回の爆発に見舞われている。またロシア軍はここからウクライナへの攻撃を行っている。

本誌はこの動画についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

「民間人を危険にさらしている」とロシア国内から批判

この動画を受けて、ソーシャルメディア上ではロシア国内からさまざまな反応が寄せられている。一部からはロシア軍が民間人の利用する道路からこれほど近いところでロケットを発射し、民間人の命を危険にさらしていると非難する声が上がった一方で、動画を投稿することでロシア軍の砲兵部隊の位置をばらしたと地元住民を非難する声もあった。

モスクワ地域のニュースを伝えるチャンネル「モスクワ・テレグラフ」はテレグラムのチャンネルで、「ロシア軍が一般の車道で民間人の車の間からグラートMLRSを発射した」と報じ、「兵士たちはベルゴロド地方の道路上に立ち、車の流れをせき止めてハルキウに向けてMLRSを発射した」と述べた。さらに同チャンネルは、「そのように民間人を危険にさらすなど、彼らはどこまで愚かなのか」とつけ加えた。

また4万人超の購読者がいるラジオ局「Govorit NeMoskva」はテレグラムのチャンネルで、ロシアの民間人が人間の盾として利用された可能性を示唆。問題の動画を共有し、「人間の盾:ベルゴロド近郊で民間人の車の渋滞の中からグラートミサイルが発射された」と述べた。

ウクライナ戦争をエスカレートさせるための「戦術」か

ロシアで人気のソーシャルメディア「フコンタクテ」上では、一部のユーザーから民間人の安全を懸念する声が上がった。

あるユーザーは「民間人の車のところには何も飛んで来ないのだろうか」と投稿。ウクライナ人ブロガーのデニス・カザンスキーもX(旧ツイッター)上でこの問題を取り上げ、ロシア軍の兵士たちが「民間人の後ろに隠れている」と非難し、ロシア軍は「ウクライナ軍による反撃を誘おうとしているのだろう」と指摘した。

あるXユーザーは、「これは人間の盾戦術だ」と述べ、「ロシアは、(ウクライナからの反撃に市民を巻き込ませることで)ウクライナ側がロシアの民間人を殺害していると批判するつもりなのだろう」と述べた。また別のユーザーは「ウクライナ側の『反撃』が民間の道路を直撃するよう仕向け、戦争をエスカレートさせようとしているのは明らかだ」と指摘した。

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