自民党の小野寺元防衛相と立憲民主党の玄葉元外相が、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、イランがイスラエルへの報復攻撃を開始したことをめぐり議論を交わした。
小野寺氏は、「恐れていたことが今起きた」と述べ、「第二波、第三波で、テルアビブなどイスラエルの中核まで行けば、中東戦争が避けられなくなる。これからの状況をよく見る必要がある」と危機感を示した。
一方、玄葉氏は、「現状を見るところまだ管理された形で攻撃をしている」とする一方、「イランの攻撃に対してさらにイスラエルが攻撃をする、さらにアメリカが攻撃をするというエスカレーションにならないよう絶対にコントロールしなきゃいけない」と指摘した。
番組コメンテーターの橋下徹氏は、「互いのメンツを立てながら、互いに妥協する、妥結するということでしか収まりがつかない。最後は政治家同士で妥協してもらいたい」と強調した。
以下、番組での主なやり取り。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
(イランがイスラエルへの報復攻撃を開始)この状況はかなり深刻なことではないか。
小野寺五典(自民・安保調査会長、元防衛相):
恐れていたことが今起きたということだと思うが、実は今、イスラエル、パレスチナに起きていること、ガザでの非常な悲惨な出来事、私たちは非常にひどい戦いだと思っているが、今まで中東の専門家から見ると、これは(ある程度)コントロールされてるんだと。実は、あの(エリアの)中だけでとどまっているから、コントロールされているんだと。むしろそれが成功していると。そんな言い方もされるような状況だったが、今回は逆についに中東戦争にある面では進むのではないかという心配がある状況で、今実際にイランとイスラエルがぶつかるということ。ただ、一部報道では、例えば、今回、テルアビブという真ん中の場所ではなく、ゴラン高原という端のところでの攻撃ということであれば、攻撃をしているイランの方もこのあたりで報復をするということで、それぞれやはり考えた形で報復がなされるのであれば、何らかの形でまた冷静に話ができると思うが、これが本格的にさらに第二波、第三波ということで、テルアビブとか、イスラエルの中核に行った場合には中東戦争が避けられない状況になるので、これからの状況はよく見ておかなくてはいけないし、国際社会がとにかくこれを抑えるという強いメッセージを日本も含めて早く出すべきだと思う。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
今回の攻撃は、ゴラン高原、イスラエルが占領している場所ですけれども、そこに向けての無人機や弾道ミサイルの攻撃ではないか、という見方があるようだが、これが攻撃の応酬みたいなことになってくると、かなり中東地域が不安定になってくる可能性があり、中東に日本はその原油の輸入9割以上依存しているわけで、そのあたりの影響も懸念されるが。
玄葉光一郎(立憲民主党、元外相):
この番組でも何回か申し上げたことがあると思うが、イランを巻き込まないっていうことが大きなポイントだということを申し上げてきたが、残念ながらこういう形で巻き込まれたというふうに言ってもいいと思う。ただ、現状を見るところ、まだ管理された形で攻撃をしているなと見える。つまり、事前に米国側と連絡を取り合ったりしながら、限定的にやりますよということをやっているのではないかと。つまりは、イランは(シリアの大使館が空爆されたことで)コッズの革命部隊の司令官はじめ、かなりの数が殺されているので、それに対しての報復を国内向けにもしないといけないということで、この攻撃に対してさらにイスラエルが攻撃をするとか、さらに、そこからアメリカが攻撃をするとかというエスカレーションにならないように、絶対にコントロールしなきゃいけない。そして、アメリカはそのつもりだというふうに私は思う。
梅津キャスター:
まさに中東情勢に詳しい元外交官の宮家邦彦氏にもこの一報を受けて話を聞いたが、「今回のイランによる攻撃は限定的なものである可能性が高い」と指摘している。というのも、イランは意図的に情報を流して、アメリカ軍やイスラエル軍に迎撃をさせているんだと。イスラエル対ハマスの戦争の本質は、アメリカ対イランの代理戦争と言われているが、イランはアメリカと直接対峙することには慎重。ただ、大使館を攻撃されたことで国内の反発が抑えきれなくなり限定的な攻撃に踏み切った、という分析を宮家氏はしている。ただし、「万が一イランが判断ミスをして大規模な攻撃に踏み切って大きな被害が出るなどした場合は、局面が大きく変わる可能性もある」という分析をしていた。
橋下徹(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
こういう事態になったら正義を振りかざして、正義と正義がぶつかり合うっていうところは止めなきゃいけないと思う。それは政治がやるべきことであって、これはお互いのメンツを立てながら、お互いに妥協する、妥結するということしか収まりがないと思う。やっぱり我々日本は、西側グループではあるが、イスラエルの大使館を攻撃したというね。どんな理由があっても、それはやっちゃいけないと思う。世界各国にいろんな大使館がある。で、そこを情報収集機関として使う、軍事的な拠点に使っていることはみんなわかっていながら、その大使館を攻撃しないという建前で国際社会が成り立っている中で、いかなる理由があっても大使館攻撃は、絶対ダメなこと。
松山キャスター:
(4月1日に)今回はシリアにあるイラン大使館が空爆された。
橋下氏:
どこの大使館でもそれは、やってはダメだと思う。だから、それをしっかり西側社会がイスラエルに言いながら、最後は政治家で妥結をしてもらいたい。ここで正義を振りかざすようなことは、やってほしくない。
小野寺氏:
ここで本当に中東の戦争が始まった場合には、日本も大きな経済的な影響が出るし、もう一つは、世界の目がまた中東に行くと、私どもが議論している東アジアの安定の問題というのは“力の空白”になってしまう。そこにまた紛争が起きる可能性が出てくるので、早くこれを収めていくことは日本の国益にとってもとても重要なことだ。
玄葉氏:
(これまでのところ)イランもかなり抑えていると思う。また、抑えていくとも思う。
松山キャスター:
(イランは)ただ、国内事情を考えると、何らかの報復はせざるを得なかったと。
玄葉氏:
(それにより)誤解が生じないようにしなきゃいけないということだ。
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