Newsweek Japan-YouTube
<韓国で急激に進む少子化の理由について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>
2018年に1.0を割った韓国の合計特殊出生率は、昨年の時点で0.72にまで低下。ハイペースで少子化が進んでいる。
少子化の原因として、若年層における非正規雇用の割合の高さや婚姻年齢の上昇を指摘する声は多い。しかし他国と比べると、韓国の若者をとりまく状況は決して悪いとは言えない。韓国で少子化が加速している本当の理由とは──。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「韓国少子化、若者は貧しくないのになぜ深刻に?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。
◇ ◇ ◇OECDの統計によると2023年の韓国の失業率は2.7%で、15~24歳の失業率は7.4%。若年層の失業率はOECDの38か国の中で7番目に低く、アメリカの10.1%、フランスの18.5%、イタリアの25.4%と比べても低い数値となっている。
2021年のOECDデータによれば、高卒以上の学歴を持つ24~34歳のうちパートタイムや年次契約で働く割合は世代人口の5%と低く、労働条件や給与面については他国に対して特別劣っているとも言えない。
国全体の格差を示すジニ係数は2022年時点で0.324。日本と同程度でイギリスやアメリカに比べれば格差も少ない。
では、韓国の若者は何に対して不安を感じているのか──。それは、悪化する「未来」への展望に対してだと言える。
高度成長が続いた時代は「今」の生活が苦しくとも「未来」に希望を見出すことができた。しかし、民主化と経済成長を経て先進国となった韓国は、目指すべきモデルを見失った。
未来への希望がなくなることで少子化が進み、少子化が進むことで未来がより暗いものとなる。韓国社会は負のスパイラルに入りつつある。
また、インターネットを通じて可視化された富裕層の存在は韓国の若者の前に「格差の象徴」として現れる。社会に広がる嫉妬や羨望が未来への不安を煽っている。
韓国の人々がこの状況からどのように希望を見出していくか。同じく少子高齢化と人口減少の問題を抱え、「老いゆく社会」に生きる者として、韓国の姿は日本の合わせ鏡になる。
■より詳しい内容については動画をご覧ください。
※この動画は、木村幹氏(神戸大学大学院教授)の寄稿記事「「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景」に基づいています。
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