ブラジルでは、先月末から大雨による洪水の被害が拡大しています。

ポルト・アレグレ。地元の人によりますと、山の水が川に集中し、ダムが決壊。一気に街へ水が流れ込んだといいます。

当局によりますと、死者は113人、安否不明者は少なくとも146人に上っています。

避難者:「洪水がきて、すべてを失った。家も仕事もない。神がいてくれることを信じています」

30年以上、ポルト・アレグレに住んでいる森口さん。現在は、地域の避難所を支援しています。

南日伯援護協会・森口由美さん:「船やヘリで救助するしかないところもかなりあります」

森口さんのアパートでは、浸水の被害はありませんでしたが、不安もあるといいます。
森口由美さん:「私たちが開設した避難所では、麻薬を使っている人がいて、ここには麻薬がないから居られないと、自分たちで出て行ったり」

多くの避難所には治安維持のため、警察が派遣されているそうです。

被災者は190万人以上。その数は、今後、増える可能性もあります。
ブラジル・ルラ大統領:「洪水による被害が、どの程度なのかまだわからない。すべては水が引いてからだ」

先月、アメリカでは、竜巻が100以上、発生。この2週間は、毎日、竜巻の報告があり、例年のペースを上回っています。

この異常気象の原因の一つと考えられているのが、南米付近の海水温が高くなるエルニーニョです。

オハイオ州立大学大気科学・ハウサー准教授:「エルニーニョは、大気の動きを変化させます。低気圧のパターン、ジェット気流の位置などが竜巻の発生と密接に関わっています」

異変はアジアでも起きています。

インドは、エルニーニョの影響とみられる猛烈な熱波に襲われています。今は、5年に1度の総選挙の最中。投票所では、暑さを考慮してテントと水が用意されています。連日45度を超える地域もあるなど、死者は少なくとも9人。

この熱波はアジアの広い範囲に及んでいます。

フィリピンでは、40度を超えると、原則対面での授業は禁止。学校は閉鎖となります。自宅で勉強です。
母親:「オンライン授業でも、暑くて、子どもたちは勉強しない」

実は、地球温暖化の影響で、このようなことも起きています。

EUの気象情報機関が、今週、発表した地球の海面水温に関するグラフ。
20年前、2004年の海面水温、4月の平均は20.5度でした。2023年4月には、平均20.86度と0.36度上昇。今年4月の平均は21.04度となり、20年前と比べて0.54度、海面水温が上昇しています。

この海水温の上昇について、気候変動を研究する三重大学の立花義裕教授は「海は、大気中の熱エネルギーを吸収するので、地球温暖化が進むと海水温も上昇する。これまでは、海が熱エネルギーやCO2を吸収することで、地球温暖化のスピードを遅らせてきた。CO2は水温が低いほど水に溶けやすいため、海水温が上がったことで海がCO2を吸収しきれなくなった」といいます。

気象庁によりますと、日本近海の海面水温も上昇しているといいます。

今年の梅雨や夏の天気にはどう影響してくるのでしょうか。
立花教授は「より極端な異常気象になりやすい。東北まで海水温が高いので、梅雨時は西日本だけでなく、北日本にも災害級の大雨が降る可能性がある。また、海水温が高いと台風も強力になる」としています。

また、気象庁は10日、「エルニーニョ現象が終息に向かい、ラニーニャ現象が発生する可能性が高い」と発表しています。

ラニーニャは、日本の南側、インドネシア沖の海水温が高い状態が続く現象です。一般的にラニーニャの年は、日本では夏の気温が上がる傾向にあるといいます。

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