気温−1度、小雪が舞うロシア・モスクワで9日、第2次大戦の戦勝記念日の式典が行われました。通算5期目に突入したばかりのプーチン大統領が、核の力を誇示する場面もありました。


■ウクライナ侵攻の部隊も参加

毎年恒例の軍事パレード。第2次世界大戦でナチスに勝利した日を祝うもので、ソ連時代を含めロシアでは国威発揚に必要不可欠なイベントです。ウクライナの前線で戦っている兵士たちの姿もありました。

ただ、参加した戦車はソ連時代の骨董品が1両だけで、他は装甲車やトラックなど数十台にとどまりました。航空部隊は侵攻後初めての参加ではありますが、アクロバット用の機体のみで戦略爆撃機などの姿はありませんでした。ウクライナ侵攻前と比べスケールダウンしていことは否めません。唯一、ロシアらしい兵器だったのはICBM『ヤルス』。3発が披露されました。

■核戦力「常に戦闘準備態勢」

プーチン大統領、戦略核については演説でこのように話しています。

プーチン大統領
「過ぎた野心が何をもたらすのか我々は知っている。我々の戦略部隊は常に戦闘準備態勢にある」

5期目をスタートさせた自信からなのか、戦略核はいつでも使えることを強調しました。

防衛省防衛研究所 兵頭慎治氏
「6日、プーチン大統領の就任式の前日に、ロシア軍に対し戦術核の使用を念頭においた軍事演習を行うように指示をしている。引き続き、核使用を示唆する動きを強めながら、ウクライナに軍事支援を行う欧米諸国を強く牽制(けんせい)するという狙いも」

■深まる孤立を隠す“画策”

演説では中国のことも持ち上げていました。

プーチン大統領
「ロシアは第二戦線や同盟者たちの支援を過小評価していない。軍事国家日本の侵略から独立のために戦った、中国の人々の勇気に敬意を表する」

今回の軍事パレードですが、ヨーロッパの首脳陣の姿はありません。孤立を深めるその一方で、ベラルーシのルカシェンコ大統領やギニアビサウのエンバロ大統領、タジキスタンのラフモン大統領の姿がありました。

防衛省防衛研究所 兵頭慎治氏
「8日にロシアが主導する枠組み『ユーラシア経済同盟』の首脳会談があった。これを前日に行うことで、ユーラシア経済同盟の関係国をモスクワに呼び寄せて、軍事パレードに参加させる仕掛けを行っている。あの手この手を使いながら、なんとか数をそろえて、ロシアが孤立していないとアピールしようとしたが、これまでの軍事侵攻前のパレードと比べると寂しいものになっている」

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