ジャース大谷翔平選手の口座から不正送金した罪などで、アメリカで起訴された大谷選手の元通訳・水原一平被告が、検察側との司法取引に合意し、罪を認めることがわかりました。
■水原一平被告 歯の治療で900万円だまし取る
井上博貴キャスター:
どこまで事が広がっていくんだろうかと耳を疑ってしまうような情報がどんどんと出てきます。
水原一平被告は司法取引に合意しています。
・大谷翔平選手の口座から約26億円不正送金(大谷選手になりすまし銀行に約24回電話)
→銀行詐欺罪
・新たに約6億円の所得を申告せず(2022年度)
→納税申告虚偽記載罪
この2つの罪になります。
約6億円の大多数は掛け金の儲けに当たるわけですが、新たに「歯の治療代」として大谷選手から900万円をだまし取っていたということです。
大谷選手の合意を得て、約900万円の小切手を入手。
治療費は大谷選手のカードで支払い、小切手の約900万円分は自分の口座に入金していたということです。
その他にも、転売目的で大谷選手の口座からベースボールカードを購入したり、独身と偽り連邦税の控除を受けたりしていたことも新たにわかってきています。
ホラン千秋キャスター:
様々な事実が明らかになる中で、全体像を現時点で、どのようにご覧になっていますか。
鈴木淳司 米・カリフォルニア州弁護士:
既に全体像はある程度わかってきましたが、新たにいくつかの事実が明らかになって、ずいぶんいろいろな関係が出てきたんだなということが読み取れると思います。
ホランキャスター:
特に気になる点はありますか?
鈴木淳司 米・カリフォルニア州弁護士:
6億円の所得を申告しないというのは、水原被告が自分のために使っていたという部分なんですね。この6億円の中には2022年度に賭博のために送った金額も含まれていることがわかってきたと思います。
ホランキャスター:
ギャンブルにまつわる所だけではなく、様々な所でお金をある意味集めて搾取していたという心理について、どのようにご覧になっていますか。
田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
まず、やった行動は当然間違っているわけですが、なぜそうなってしまったかというところが心理のところですよね。お金に困っていた、なぜこれだけ困っていて、そして、どんな手段を使ってでも、お金が欲しいという事実が何か。その中で、ギャンブル依存症の可能性もありますよね。
鈴木さんに伺いたいのですが、ギャンブル依存症であることが確定することがあるのか、それで量刑が軽くなったり、変化はあるのでしょうか。
■ギャンブル依存症「考慮の事情として考えられる」が…
鈴木淳司 米・カリフォルニア州弁護士:
(水原被告が)治療しているかどうかわかりませんが、そのような治療行為を行うと、それは考慮の事情として考えられていくと思います。
ただ、一時的に治療したからといって裁判所を説得できるわけではないので、今後そういった治療や刑務所内のプログラムもあるので、そういうものを受けていくという形になると思います。
井上キャスター:
これまでは、我々もギャンブル依存症、つまり病気だと捉えていましたが、ここまで大谷さんを利用していた、嘘に嘘を重ねていたという極めて悪質性が高まったと思いますが、それでも司法取引をする、つまり自白をするとある程度、罪は軽くなる。こういう流れになるわけですか。
鈴木淳司 米・カリフォルニア州弁護士:
裁判所にもよりますが、連邦の刑事事件の約95%が司法取引で解決します。
ここで悪質な行為がいろいろ出てきたのは、司法取引をすることを前提としても、刑の言い渡しが今後行われ、そのとき必ず裁判官の目に触れます。
ですので、お金を送金したということだけではなく、例えば歯医者の治療代をおかわりしたとか、いろいろな行為をここに盛り込むことで、悪質性を検事は強調しているんだと思います。
■今後の司法手続きは?
井上キャスター:
罪は軽くなるけれども、その悪質性を強調するということになるだろうということですね。
今後の司法の手続きの流れです。(カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司氏によると)
罪状認否が5月14日、
「罪を認める」または「無罪を主張する」ということが想定されます。
罪を認めることになると、
保護観察機関で生い立ち、財産、交友関係、犯罪歴など、身辺全ての「聞き取り調査」を行う段階に入るそうです。
その後、量刑の言い渡しがあり、言い渡し期日は、2か月もしくは3か月後になるのではないかということです。
ホランキャスター:
こういった事案に関しては、2、3か月後くらいの期日でできるという前例が多いわけですか。
鈴木淳司 米・カリフォルニア州弁護士:
私の実務の経験から、やはり2、3か月はかかってくるのは間違いないです。
5月14日には、水原被告は罪を認めるという方向になると思いますが、罪を認めると保護観察機関が介入してきます。保護観察機関は有罪を認めた後なので、黙秘権がない状態で情報を全て聞くという形になります。
そのレポートを作るのに、やはり30日では無理なので、60日ぐらいはどんな事件でもかかるので、2、3か月後に言い渡し期日が設定されていく流れだと思います。
井上キャスター:
その作られたレポートもある程度、量刑の言い渡しに判断を及ぼすと考えられるんですか?それとも形式的なものなんですか。
鈴木淳司 米・カリフォルニア州弁護士:
実は、保護観察機関が作ったレポートが最重要になってきます。
この保護観察機関が作る「sentencing report (=量刑報告書)」は僕が弁護人であれば「ここを修正してほしい」「ここは違う」などの意見を言えますが、基本的には裁判官は「probation report(=保護観察報告書)」という、保護観察機関が作ったレポートをもとにして判断をしていきます。ですから、ここに量刑がどのぐらいが相当であるということも書かれていくという流れになります。
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<プロフィール>
鈴木淳司さん
米・カリフォルニア州弁護士
30年近くアメリカで商事・刑事等の裁判を多数経験
カリフォルニア在住
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
アスリートの学び場「iMiA(イミア)」主宰
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