地中深くの岩体からエネルギーを取り出す技術の開発が進む(アイスランドの地熱井) CARD76/ISTOCK
<私たちの足元に眠る次世代のクリーンエネルギー、地球の熱の恵みを解き放って温暖化と闘う>
地中から取り出すクリーンで、カーボンフリー(二酸化炭素の排出量ゼロ)で、常にアクセスできる再生可能エネルギーという概念自体は以前からある。さらに、新しい研究により、地球の深部にあるスーパーホットロック(超高温岩体)地熱エネルギーは、推定される資源量のわずか1%で石油210億バレル分に相当するエネルギーを供給できることが分かった。これはニューヨーク市の電力需要量の687倍に相当する。
アメリカの非営利団体クリーン・エア・タスク・フォース(CATF)とオランダのトゥウェンテ大学の研究チームによると、アメリカの土地の約20%(約1943万平方キロ以上)の地下約12.5キロより深い所に、こうした超高温岩体が存在するとみられる。最も有望なのは西海岸で、特にオレゴン州とカリフォルニア州に集中している。
CATFのスーパーホットロック・エナジー担当ディレクターのテラ・ロジャースはリポートで次のように述べている。
「今回の数値モデルは予備的なものだが、私たちの足の下にある膨大な量のクリーンエネルギーを解き放つという非常に大きなチャンスを示唆している。世界のスーパーホットロック地熱エネルギーのポテンシャルのわずか1%を利用して、63テラワットのクリーンな安定電力を生産できる。2021年の世界の電力需要の8倍近くを満たせる量だ」
「世界中で数十カ所の地熱井(調査開発用の坑井)が超高温状態に達しており、技術的・商業的に適切な進歩があれば、数十年どころか数年で初期の商業規模の発電所が登場する可能性もある。常に利用可能なゼロカーボンのエネルギーに支えられた安定供給も、遠い夢ではない」
スーパーホットロック地熱エネルギーは、地下深くで400度以上に達した岩体にドリルでアクセスしてエネルギーを取り出す。
市場電力並みのコスト
CATFによれば、他のエネルギーの採掘方法に比べて利用する土地面積のカーボンフットプリント(CO2排出量)が小さい。また、化石燃料の燃焼に伴う窒素酸化物、二酸化硫黄、粒子状物質などの汚染物質の削減につながる。
CATFは世界全体の蓄熱量を基に、スーパーホットロック地熱エネルギーが「完全に商業化された場合の財政的・経済的可能性」も推定している。計算によると、例えばヨーロッパの資源量のわずか1%で2.1テラワットのエネルギーを供給でき、1万8000テラワット時の電力を生産できる。ベルリン規模の都市1400カ所の1年間の電力を賄える量だ。
「人が住む各大陸(南極大陸を除く)でそれぞれ数千テラワット時の発電も可能になる」と、CATFは述べている。「商業規模で実用化されれば、現在の市場電力価格とコスト競争力を持つだろう」
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