英スコットランドにある駅の看板。駅名が英語(上段)に加えてケルト語系ゲール語(下段)でも記されている=英グラスゴー・クイーンストリート駅で2024年2月20日、篠田航一撮影

 英国やアイルランドの一部で話されるケルト語系言語や文化を大学で専攻した卒業生は、他の分野を学んだ人より幸福度が高いとの調査結果が明らかになった。英紙タイムズなどが伝えた。高収入ではないが、学生時代に好きな学問に没頭したことで人生の満足度を高めている可能性がある。

 調査はコンサルティング大手PwCが実施。2013~22年に英国の大学の卒業生6万人以上を対象に、幸福度や収入を調べた。その結果、35の分野のうち収入が高いのは医・歯学、経済学、薬学などの学士号を取得した卒業生だった。だが自らが幸せと思う卒業生はケルト学がトップで、スポーツ学、医・歯学と続いた。ケルト学の収入は35分野中26位と低かった。幸福度も収入も低いのはメディア学やクリエーティブアート学だった。

 ケルト人は古代欧州の先住民族。ケルト語系のゲール語は今も英北部スコットランドなどで話され、アイルランドでは公用語になっている。専攻した学生は卒業後、教員や博物館員、遺跡関連の仕事に就く人が多いという。

 英グラスゴー大のケルト語・ゲール語専門家のジェラルディン・パーソンズ博士は同紙に、ケルト学を勉強する人は情熱的な人が多く、こうした情熱が卒業後も「個人の幸せにつながっている」と分析している。【ロンドン篠田航一】

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