モスクワ郊外コンサート会場銃乱射事件の犠牲者を追悼するプーチン(3月24日) Sputnik/Mikhail Metzel/Pool via REUTERS

<プーチンは「戦争と宗教に取りつかれている」と専門家が指摘する変化>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「宮殿」だとされている黒海沿岸の大邸宅が改装され、邸内に玉座を備えた教会がつくられた。ロシアの独立系メディア「プロエクト」が報じた。

【動画】「プーチンの宮殿」改装、贅沢三昧から狂信者に?

プロエクトは5月6日に公表した調査報告の中で、最近ロシア南部のソチ近郊ゲレンジクにあるプーチンの豪邸で改装工事が行われたと指摘。その内部の映像や画像を入手したと明らかにし、プーチンは「戦争と宗教に取りつかれているようだ」と述べた。

2021年にロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(2月に獄中で死亡)がその存在を暴露したこの豪邸は、「プーチンの宮殿」として知られていると、ロシアの治安情報に詳しいテレグラムチャンネル「VChK-OGPU」は伝えている。本誌は今回の件についてロシア外務省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

プロエクトによると、改装された部屋はナワリヌイが公開した動画にも出てきた淫靡な雰囲気の娯楽室で、「ポールダンス用のステージがあった」


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汚職で建てた城

それが今や、三連祭壇画と木製の玉座を備えた礼拝室に変貌。壁には十字架が飾られており、複数の専門家によれば祭壇画は「聖ウラジーミル大公」を描いたもののようだ。


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木製の玉座は、高位聖職者のために用意されるか、あるいは教会の所有者が「自分自身または自分の影響力をきわめて重要なものだと考えている」ことを示すために使われるという。


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ナワリヌイが設立した汚職撲滅基金が2021年の動画によれば、この豪邸の建設費は13億5000万ドルで、その費用はプーチンの盟友や親族を国営企業など要職に就けることで利益を吸い上げる汚職スキームを通じて支払われた疑いがあるという。

ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は動画が公開された2021年当時、ナワリヌイらの主張について「まったくのナンセンス」だと一蹴していた。

汚職撲滅基金の調査部門責任者兼理事長のマリア・ペヴチクはX(旧ツイッター)への投稿で、「プーチン宮殿」の新たな写真が公開されたことは重要だと指摘。「自らの身の安全を守ることに執着しているプーチン」への打撃になるからだと述べた。

「プーチンはほかの人が使った皿を使わない。大勢のボディガードなしでは外出しない。公共の場では決してトイレに行かない」と彼女は投稿し、「つまり宮殿内部で撮影した映像やフロアプランまでが公開されてはプーチンは怖くてこの宮殿を使えなくなる」と指摘した。

「もしかしたらプーチンは再び宮殿を取り壊し、一から建て替えを行うかもしれない。今回改装した宮殿はもう使えない。宮殿はもはや存在しないも同然だ。今回の一件は改めて、プーチンが贅沢好きなサイコパスであるだけでなく、彼の警備体制がまったく機能していないことを示した」

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