政府の会議へ向かう、ロシアのプーチン大統領(右)とミシュスチン首相=モスクワで5月6日、スプートニク通信・ロイター

 ロシアのプーチン大統領(71)は7日、モスクワのクレムリン(大統領府)で就任式に臨み、通算5期目の政権をスタートさせる。新たな任期は6年間で、3年目に入ったウクライナでの「特別軍事作戦」が引き続き政権の最重要課題となる見通しだ。2020年の憲法改正に基づき、次回の選挙でも当選すれば、36年までの「超長期政権」となる可能性もある。

 特別軍事作戦を巡っては、露軍は最近、ウクライナ東部の戦線で攻勢を強めている。プーチン氏は折に触れて「交渉」の姿勢も示唆するが、占領地域の拡大を狙うロシアの意図は明白だ。

 ショイグ露国防相(68)は3日、軍指導部との会議で、今年1月以降にウクライナ東・南部4州で新たに547平方キロ(東京23区の総面積の約9割に相当)を掌握したと言及。「露軍はネオナチからロシア領土を解放し続けるだろう」と主張した。

 ロシア内政では、プーチン氏の5期目入りに伴う内閣改造が見込まれ、現職閣僚らの去就や若手人材の登用の有無に注目が集まる。ただ、在職の長期化や高齢化も指摘される主要閣僚の多くは留任するとの見方が大勢だ。

 マトビエンコ上院議長は4月24日、ロシア通信のインタビューに「内閣の中核は確実に残るだろう」と語った。露メディア「RTVI」も議会関係者の情報として、ミシュスチン首相(58)やラブロフ外相(74)は留任する可能性が高いと報じている。

ロシアのショイグ国防相(右)と握手するプーチン大統領=露南部クラスノダールで3月7日、スプートニク通信・ロイター

 一方、ショイグ氏については、4月下旬に側近のイワノフ国防次官が収賄容疑で逮捕されたことから、引責による交代説も浮上した。ただ、在外・独立系メディア「メドゥーザ」は情報筋の話として、露軍がウクライナで攻勢を強めているうちは辞任する可能性は低いとの見方を伝えている。

 ロシアの大統領選では、前回の18年と前々回の12年にはプーチン氏の当選に対して「不正」と訴える大規模な抗議デモが起きた。いずれも当局によって抑え込まれ、政権は批判的な声に対する抑圧を強めてきた。

 今年3月の大統領選では、プーチン氏が87・28%と過去最高の得票率で当選し、国民の結束を演出する形となった。独立系の選挙監視団体が「票の大幅な水増し」を指摘し、欧米からも公正さに疑問を投げかける声が出ていたが、国内統制が厳しくなる中で選挙結果に抗議する目立った動きは見られなかった。【モスクワ山衛守剛】

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