ウィンウィンのはずだった「USスチールの買収計画」に大統領が出てくる事態に。なぜ、ここまでこじれてしまったのでしょうか。専門家に聞きました。

■なぜこじれた? 大統領に“一任”

 「鉄の街」の住民は戸惑いを隠せません。

USスチール従業員
「なんで反対なんですか?私には理解できないです。同盟国(日本)に対して、被害妄想する必要ないよね」
「大きな政治的圧力があると思うよ」

 アメリカ東部・ペンシルベニア州のピッツバーグ。ここに本社を置くのが日本製鉄が買収を目指している「USスチール」です。

 ワシントン・ポストによりますと、その買収計画を巡ってアメリカのCFIUS(対米外国投資委員会)が審査を行っていましたが、一致した結論に至らず、バイデン大統領に判断がゆだねられたといいます。

早稲田大学 中林美恵子教授
「バイデン大統領は15日以内に最高責任者、国家のトップとして判断を下さなければなりません」

 エンパイアステートビルの建設に、その鉄鋼が使われるなどアメリカの発展に貢献してきたUSスチール。しかし、海外メーカーとの競争に負け続け、2006年に6位だった生産量は去年24位まで下落。

USスチール従業員
「日本製鉄がなければ、我々が歴史ある製鉄所で働く最後の世代になってしまう」

 買収はUSスチール側にとっても望ましいものだったはずでした。しかし、なぜ事態がここまでこじれてしまったのでしょうか。

トランプ次期大統領
「恐ろしいことだ。日本がUSスチールを買収するなら直ちに阻止する。絶対にだ」

 バイデン大統領も安全保障上の問題があるとして、これまで買収に否定的な立場を示しています。

早稲田大学 中林美恵子教授
「1つは買収の案件が米大統領選挙の渦中にぶつかってしまった。候補者としてUSスチールがあるペンシルベニア州を落としたくない両候補がいた。労働者、労働組合、大きな票を取るために反対の声を上げた」

 しかし、選挙が終わった後も買収問題に影響が及んでいるのは、なぜなのでしょうか。

早稲田大学 中林美恵子教授
「恐らくバイデン氏としては選挙中にトランプ氏と同様に自分も反対だと繰り返していますので、これを覆すというのは選挙で選ばれた人としては難しいのでは」

(C) CABLE NEWS NETWORK 2024

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