12月20日、任期が残り1カ月となったバイデン米大統領は、外交と内政の両方でトランプ次期大統領の就任前に達成したい多くの政治課題を抱えている。米首都ワシントンで9日撮影(2024年 ロイター/Elizabeth Frantz)

任期が残り1カ月となったバイデン米大統領は、外交と内政の両方でトランプ次期大統領の就任前に達成したい多くの政治課題を抱えている。

ホワイトハウス関係者によると、パレスチナ自治区ガザでの停戦と米国人人質の解放、ウクライナへの追加援助、さらなる非暴力犯罪者の恩赦と学生ローン債務の免除、半導体生産への一段の資金提供、日本製鉄によるUSスチール買収阻止などが優先事項だ。


 

米国のリーダーシップを回復し強化すると約束したバイデン氏の海外における功績が、同氏の任期中に起きた欧州と中東での紛争によって損なわれたことがこのリストからうかがえる。国内では民主党の選挙での敗北により同氏のレガシー(政治的遺産)が揺らいでいる。

82歳のバイデン氏は米経済を立て直すと表明し、任期前半には超党派の支持を得たインフラ投資法案やインフレ抑制法案を成立させるなど、重要な政治上の勝利を収めた。

しかし、2022年の中間選挙で共和党が下院を制したことで、主要な立法は事実上停止した。また、11月の選挙での民主党の大敗、特にハリス副大統領が激戦州でトランプ氏に全敗した原因について、民主党の一部はバイデン氏の選挙戦からの撤退が遅れたことにあると非難している。

ホワイトハウス当局者らは、ガザ地区での停戦とウクライナの防衛力強化が最優先事項だと述べている。

14か月に及ぶガザ紛争の停戦合意は、近日中に成立する可能性がある。

バイデン氏はまた、ウクライナへの武器供与を急いでいる。ロシアのプーチン大統領との親密な関係を強調するトランプ氏は、ウクライナの支援に消極的になる公算が大きいからだ。

さらにバイデン氏はイランに対抗するために、サウジアラビアとの間で限定的な安全保障協定の締結を目指す可能性もある。サウジはバイデン氏が提案したイスラエルとの関係正常化の条件を拒否し、その結果、米国との拘束力のある相互防衛条約の交渉を断念した。


 

内政における課題

バイデン氏は近くUSスチールの買収を正式に阻止する可能性がある。

安全保障上の問題を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)は23日までにバイデン氏に対し買収計画を承認するか、審査を延長するか、あるいは計画を認めないことを提言する見通し。

他の優先事項にはトランプ氏が反対する公算が大きい政策やプログラムがあり、気候変動への取り組みなどが含まれる。インフレ抑制法(IRA)に基づく水素プロジェクト向け税額控除について、財務省は議論の的になっている最終指針を明日にも公表する可能性がある。

一方、商務省は、国内の半導体生産を促進するためにバイデン政権が定めたCHIPS・科学法の未使用予算の配分を急いでいる。トランプ氏はこのプログラムのコストを批判しており、今後の見通しが不透明になっている。



[ロイター]


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