米連邦議会の上下院は21日未明までに、当面の政府運営資金を手当てする「つなぎ予算」の修正案を賛成多数で可決した。同日中にバイデン大統領が署名して成立する見通し。19日に下院が否決したつなぎ予算案から、トランプ次期米大統領の求めた「債務上限」への対応を削除した内容。現行のつなぎ予算失効による政府閉鎖は、ぎりぎりのタイミングで回避された。
つなぎ予算の修正案は2025年3月14日までの政府運営資金を賄う。ハリケーンなど自然災害からの復旧支援も盛り込んだ。一方、連邦政府の借金限度額を定める債務上限の一時停止や廃止には触れなかった。
ジョンソン下院議長(共和党)は、民主党指導部と合意していたつなぎ予算案を今月中旬に発表したが、トランプ氏が反対を表明したことで撤回。トランプ氏の求める債務上限の停止期間の延長を加えた新たなつなぎ予算案を急きょ策定した。
だが、19日の下院の採決では、合意を破棄された民主党に加え身内の共和党の財政規律重視派などからも「筋が通らない」などと造反の動きがあり、反対多数で否決された。
現行のつなぎ予算の失効が迫る中、ジョンソン氏は20日、債務上限への対応を取り除く一方、当初案に比べて複数の歳出項目を削った2度目の修正案を発表。賛成366、反対34と圧倒的な超党派の支持を得て可決された。上院もその後、この修正案を賛成多数で可決した。
当初のつなぎ予算案には、トランプ氏と蜜月関係にあり歳出削減を求める実業家のイーロン・マスク氏も反対を呼び掛け、ジョンソン氏率いる下院共和党を混乱に陥れた。ただ、最終的に可決されたつなぎ予算案で複数の歳出項目が削られており、マスク氏はX(ツイッター)で「下院議長は良い仕事をした」と投稿した。【ワシントン大久保渉】
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