未成年犯罪増加への対応を協議するスウェーデンのストレンメル法相(左)ら北欧各国の担当閣僚たち=デンマーク・コペンハーゲンで2024年12月9日、ロイター

 スウェーデン政府は18日、15歳未満の子供が利用する電話やインターネットの通信傍受を可能にする法改正を提案すると発表した。警察に傍受の権限を与え、急増する未成年犯罪に歯止めをかけるのが狙いという。AFP通信などが伝えた。

 スウェーデンでは近年、麻薬密売組織の縄張り争いなどによる銃撃事件が増加し、その「実行役」として子供が関与する例が目立つ。15歳未満は刑事責任を問われないため、ギャング団が「殺し屋として雇う」(英紙デーリー・メール)ケースが多い。殺人はSNS(ネット交流サービス)などを介して指示があり、報酬は1件につき2万ユーロ(約320万円)前後と報じられている。

 スウェーデンで15歳未満が関与する殺人事件は、2023年1~8月は31件だったが、24年の同時期は102件に上り、約3倍に急増した。ストレンメル法相は18日の記者会見で、「今や10~11歳が犯罪組織に勧誘されている。12~13歳で武器や爆発物を扱う子もいる」と述べた。

スウェーデンのストレンメル法相=デンマーク・コペンハーゲンで2024年12月9日、ロイター

 報道によると、こうした子供たちの多くは中東など外国にルーツを持つ移民という。15年の欧州難民危機の際にスウェーデンに到着した幼児が成長し、今は犯罪組織に入っているケースもある。

 クルド系スウェーデン人で、「クルドのキツネ」と呼ばれる有力ギャング団首領のラワ・マジド容疑者は既にイランかトルコに逃亡し、仲介者を通じてスウェーデン国内での殺人を指示しているという。

 北欧ではデンマークやノルウェーなどでも同様の犯罪が増加しており、今月9日にはコペンハーゲンで各国の担当閣僚らが対応を協議した。【ロンドン篠田航一】

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