米空軍のB-52H戦略爆撃機と航空自衛隊のF-15戦闘機2機(12月16日、沖縄上空)Japanese Defense Ministry

<中国と台湾、北朝鮮と韓国、中国の太平洋進出......大きな火種がいくつも集中する第一列島線は、もはや米軍だけでは守れない?>

米軍と日本の自衛隊が12月16日、西大西洋上の空域で共同訓練を実施。米軍の戦略爆撃機も参加した。

本誌はこの件についてロシアと中国の国防省、ならびに北京にある北朝鮮大使館にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

今回の共同訓練は、ロシアとその事実上の同盟国である中国が11月末に日本海、東シナ海といわゆる第一列島線の東側の海域の上空に核兵器搭載可能な爆撃機を派遣し、合同パトロールを実施したことを受けて行われた。

ロシアと中国による合同パトロールは2019年以降9回目で、爆撃機のほかに戦闘機や偵察機、空中給油機が動員された。日本と韓国はそれぞれ戦闘機をスクランブルさせてこの合同パトロールに対応した。

16日の日米共同訓練は、日本海および東シナ海から沖縄県南東の西太平洋上の空域で実施された。これらの海域は、日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第一列島線」上に位置している。

第一列島線は台湾統一に備える中国が海上に設定した防衛ラインだが、アメリカの防衛構想では中国に対する南北の封鎖線を意味し、同盟国とともにこの地域における中国の軍事力増強を封じ込めることを目指すものでもある。

今回の共同訓練に米軍は22機の航空機を派遣。その中にはB-52H戦略爆撃機1機、F-16戦闘機6機、F-22およびF-35Aステルス戦闘機それぞれ4機、F-18戦闘機4機とEA-18G電子戦機3機が含まれている。日本の自衛隊はF-15戦闘機13機を派遣した。

米空軍によればB-52Hは核弾頭や通常弾頭を搭載したミサイルなど合計で約32トンの兵器を積載することができる。現在76機のB-52Hが運用中で、このうち46機は核兵器を搭載できる装備になっている。

日本の防衛省は共同訓練について報道発表の中で、日本周辺における安全保障上の重大な懸念となる活動が活発化するなど、日本を取り巻く安全保障環境がより一層厳しさを増していることを受けて行ったものだと説明した。

米太平洋空軍はX(旧ツイッター)への投稿で、「安全保障に対する米空軍と日本の航空自衛隊の強い決意は、両者の協力を示す定期的な演習を通じて着実に強化されている」と述べた。

日本の防衛省統合幕僚監部はXへの投稿で次のように述べた。「今回の訓練を通じて、力による一方的な現状変更を起こさせないとの日米の強い意志および自衛隊と米軍の即応態勢を確認するとともに、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化した」

アメリカはロシアと中国、および核兵器を保有する北朝鮮に対抗するために日米韓3カ国の安全保障協力の強化に力を注いでおり、今後も日本と韓国と共同演習を実施していく可能性が高い。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。