米国防総省は18日、中国の軍事動向に関する年次報告書を公表した。中国が保有する運用可能な核弾頭について、2024年半ば時点で少なくとも600発に上ると推計。また中国軍を巡る汚職が、27年までの軍の近代化に向けた目標の達成の妨げになっている可能性を指摘した。
運用可能な核弾頭は昨年5月から100発増え、30年には1000発を超える可能性が高いとした。20年の報告書は保有数を200発台と推計した上で30年までに倍増するとしており、以前の想定を上回るペースでの増強が進んでいる。中国が少なくとも35年まで増強を続けるとの見方も示した。
また核戦力が近代化、多様化しているとも強調。低出力の精密誘導ミサイルから大型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)まで、あらゆる規模の核戦力の整備を進めている。これにより「中国は紛争時のエスカレーションの範囲と規模をよりコントロールできるようになると認識しているだろう」とした。
中国が進める高速増殖炉や核燃料再処理施設の整備が、軍事転用される可能性にも触れた。
また中国軍で広がる汚職に関しては、23年7月から12月にかけて少なくとも15人の高官らが解任されたとし、軍の近代化の目標に影響する可能性があると指摘した。
さらにロシアが侵攻したウクライナ情勢に絡み「中国が両国の戦争から得た教訓を生かそうとしていることは間違いない」と強調。対ロシア制裁などを受けて、中国が国防分野での自給や、経済とエネルギーの回復力を求めていると説明した。中国が統一を目指す台湾に関しても、台湾海峡で陸海空の態勢を強化しているとの見方を示した。【ワシントン松井聡】
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