韓国憲法裁判所の法廷=2013年12月、澤田克己撮影

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する弾劾訴追の是非について審査する憲法裁判所の報道官は17日、尹氏に答弁書の提出を求める書面を16日に送付したと明らかにした。尹氏の弁護団は17日、韓国メディアに対し、憲法裁での弁論で「尹大統領が堂々と立場を明らかにするだろう」と述べ、尹氏自らが法廷に立つとの見通しを示した。審理は非公開で実施される予定。

 尹氏は書面の送達から7日以内に答弁書を提出する必要がある。憲法裁は27日に第1回の弁論準備手続きを行う。審判を統括する主審判事は、尹氏が指名した保守系の鄭亨植(チョヒョンシク)判事が務める。判事6人以上が弾劾を妥当と判断すれば尹氏は罷免され、大統領選となる。

 尹氏側は弁護団の団長に、検事時代の元上司で側近の金洪一(キムホンイル)氏を充てると決めた。国会は14日に尹氏による「非常戒厳」の宣布を憲法違反として尹氏の弾劾訴追案を可決した。尹氏は戒厳令を「統治行為だ」として違憲ではないと主張しており、法廷で争う構え。

 憲法裁の判事は定員9人で、現在は欠員3。憲法裁の判断には6人以上の賛成が必要で、現状なら全員が賛成しなければならない。3人の指名権は国会にあり、月内の選出を目指している。

 判事の任命権は大統領にあるが、大統領職務代行の韓悳洙(ハンドクス)首相では任命できないとの指摘がある。憲法裁の報道官は17日、朴槿恵(パククネ)大統領(当時)が弾劾訴追された際に当時の大統領代行が判事を任命した例があると述べ、大統領代行でも可能だとの認識を示した。【ソウル福岡静哉】

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