トランプと反対の立場に立つことには常にリスクが伴う USA TODAY NETWORK via Reuters Connect

<テック業界の大物たちが次々にトランプの基金への高額寄付を表明。二期目のトランプの大胆な動きを見越して、チャンスに賭けているようだ>

テック業界の億万長者たちは列をなして、ドナルド・トランプ次期大統領の就任式関連の基金に寄付を表明している。ここ1年、テック業界を脅かしてきた人物に、すでに3人の大物が100万ドルずつの寄付を表明した。

「アメリカ人はトランプに投票した。彼を支持することは危険だという認識は......なかったようだ」と、モントリオール大学ビジネススクールのグウィネス・エドワーズ准教授(戦略経営学)は本誌に語った。

「億万長者たちが恐れているとは思えない。彼らはこれを絶好の機会と見なしていると思う」と、彼女は言う。

AI開発企業オープンAIのサム・アルトマンは13日、トランプ大の大統領就任式基金に100万ドルの寄付をすると発表した。メタの創設者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ、アマゾンのジェフ・ベゾス会長も同じ約束をしている。

オープンAIの広報担当者は本誌に対し、基金への寄付はアルトマンの「個人的な寄付」であることを確認した。アルトマンは声明の中でこう付け加えた。「トランプ大統領はわが国をAIの時代へと導く。私はアメリカが一歩先を行くための彼の努力を応援したい」

トランプは、テスラ創業者でXのオーナーであるイーロン・マスクとのパートナーシップを通じてテック業界とのつながりを築いているが、その絆はこうした寄付によってさらに強固なものになるだろう。マスクは実業家のビベック・ラマスワミとともにトランプ政権で政府効率化省(DOGE)を率いることになっている。

寄付を発表した最初のテック・リーダーはザッカーバーグだったが、その決断に一部のリベラル派と保守派のコメンテーターから怒りの声が上がった。

ザッカーバーグはトランプと揉めた過去がある。新型コロナのパンデミックの際に、妻とともに選挙インフラを支援するために約4億ドルを寄付したが、一部の共和党員から、それはジョー・バイデンが2020年の大統領選挙で勝利するための裏工作だと非難された。

だが、今回のザッカーバーグの発表の次の日に、ベゾスが寄付を発表した。政治雑誌ニュー・リパブリックはこの動きを事実上、トランプに「膝を屈する」決断と呼んでいる。

ベゾスはまた、今年の大統領選において、特定の大統領候補への支持表明は「偏見の認識」を生むと主張。自分が所有するワシントン・ポストがカマラ・ハリス候補を推薦する動きを阻止する決定を下し、おおいに批判された。

ベゾスは自身の決断を説明する論説の中で、「支持候補の表明をやめることは、原則に基づく決断であり、正しい決断だ」と書いている。ポスト紙の元編集長を含むトランプ批判派は、この選択を「臆病」、「憂慮すべき」、「意気地なし」と呼んだ。

セールスフォースのマーク・ベニオフCEOなど、他のテック業界のリーダーたちも選挙中からトランプを支持しており、就任式に向けて同様の資金援助を表明する可能性がある。

サンフランシスコ・クロニクル紙とのインタビューで、ベニオフはトランプの当選を「新たな序章へのチャンス」と呼んだ。「大統領の成功を願うのは当然のことだと思う」

エドワーズは、テック業界のリーダーたちは、トランプの大統領就任を前に、ある選択を迫られていると主張した。「多数派に従ってゲームに参加し、何かを得られることを期待するか、それとも静観するか」という選択だ。

「トランプに反対する立場を取ることは、常にリスクを伴う。選挙の勝利が、トランプをつけあがらせている」と、エドワーズは説明した。「彼は自分のレガシーを重視し、自分の名声を強固なものにするために大胆な動きをする可能性が高い」

エドワーズはトランプを「使命に燃える男」と評し、「テック業界の億万長者にとってはトランプ列車に飛び乗ったとして、失うものは何もない」と述べた。

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