EYEPRESS via Reuters Connect
<ロシア南部ロストフ州の航空施設を標的にしたウクライナ軍のATACMS攻撃。ロシア側はミサイルの一部を撃墜したと公表したが、施設内を撮影した映像が拡散>
ロシア国内にある航空施設がウクライナ軍による攻撃を受けた後の様子を撮影したとされる動画がソーシャルメディア上で共有され、ロシア側はこの攻撃において、ウクライナ軍が米国製の弾道ミサイルを使用したと主張している。動画にはATACMSによる攻撃がもたらした深刻なダメージが捉えられ、「仲間がどこにいるか分からない」という撮影者の声も残されている。
■【動画】「仲間はどこ...」ATACMSミサイル攻撃の「破壊力」示す動画が拡散...被弾直後の施設を彷徨うロシア兵
ロシアはウクライナが米国製の陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)6発を使用して、ウクライナ国内の前線から約160キロのところに位置するロシア南部ロストフ州タガンログの軍用飛行場を攻撃したとしている。ロシア国防省は、6発のうちの一部は電子戦システムを使って撃墜または軌道を逸らしたものの、落下した破片で負傷者が出たと報告した。
ATACMSミサイルは1発あたり約100万ドルで、ウクライナは今回の攻撃でATACMSを使用したかどうかを明らかにしていない。親ウクライナ派のテレグラムアカウント「Politics of the Country(ポリティクス・オブ・ザ・カントリー)」などのソーシャルメディアチャンネルは、使用されたのはウクライナ国産の攻撃用ドローン「パリアニツィア(Palyanytsia)」だったとしている。
「全て吹き飛ばされた」「仲間はどこにいるのか」
ロシアの独立系ジャーナリストによるテレグラムチャンネル「アストラ」は、問題の軍用飛行場にはロシア軍の第5航空旅団が駐留しており、攻撃によって数十人の兵士が負傷し、少なくとも1人が死亡したと報じた。
12月11日朝に報道されたこの攻撃の後、「アストラ」に投稿されてX(旧ツイッター)アカウントの「War Translated」が共有した動画には、身元不明の男性が破壊された建物の中を歩いている様子が映っている。この人物はひっくり返った棚や床に散らばったレンガを懐中電灯で照らしながら「全て吹き飛ばされた」と述べ、さらにこう続けた。「仲間がどこにいるか分からない。最悪だ」
本誌はこの動画の信ぴょう性について確認することができておらず、ロシアとウクライナの国防省にコメントを求めたが、これまでに返答はない。
ジョー・バイデン米政権がウクライナに対してロシア領内への攻撃にATACMSを使用することを許可したのを受けて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はロシアの新型中距離弾道ミサイル「オレシュニク」の能力を誇示。ロシア領内に向けてATACMSが発射されれば、西側諸国はロシアと直接戦うことになると警告していた。
これ以降、ロシアは少なくとも15発のATACMSミサイルを撃墜したと報告しており、ウクライナ軍が西側製のミサイルを使用することは、ロシアとの武力衝突に西側が「直接関与」することを意味すると主張している。
ロシア極超音速ミサイル「オレシュニク」は核に匹敵とプーチン
ロシア軍は11月21日に極超音速ミサイル「オレシュニク」を使用してウクライナ東部のドニプロを攻撃しており、ロシア国防省は今回の攻撃を受けて、ウクライナに対して再び「オレシュニク」を使用する可能性があると表明。「西側製の長距離兵器による攻撃に対しては適切な措置を取る」と報復の可能性を示唆した。
プーチンは、大きな破壊力を持ち極超音速で飛行してミサイル防衛システムを回避することができる「オレシュニク」を大量発射すれば核攻撃に匹敵するとその能力を誇示している。
AP通信は米当局者(匿名)の発言として、ロシアが今後数日以内にウクライナに対して再び「オレシュニク」を発射する可能性があると報道。しかし「オレシュニク」の使用は戦況を一変させることにはならず、「威嚇の試み」にとどまるだろうとの見方を示した。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。