広島・長崎の被ばく体験を伝え続けた「被団協」・日本原水爆被害者団体協議会に、ノーベル平和賞が授与されました。長野県内の被爆2世の男性は語り手だった父を含め地道な活動が評価されたと喜ぶとともに、核の脅威が去らない中、受賞の意味を改めて考えてほしいと話しました。

ノルウェーで行われたノーベル平和賞の授賞式。被団協の代表委員にメダルが授与され、田中煕巳さんが核兵器廃絶を訴えました。

長崎で被爆 被団協・代表委員・田中煕巳さん:
「一発の原子爆弾は、私の身内5人を無残な姿に変え、一挙に命を奪いました。核兵器も戦争もない世界の人間社会を求めて共に頑張りましょう」

県原爆被害者の会「長友会」副会長の前座明司さん(76)は被爆2世。広島で被爆した父・良明さんは戦後、松本市に食堂「ピカドン」を開き、被ばく体験を伝え続けてきました。

県原爆被害者の会「長友会」・前座明司 副会長:
「三度、悲惨な目に皆さんをあわせたくないと強い気持ちで、ひたすら父は愚直に行動してきた。そんな活動が評価されて受賞したことは喜ばしい」

一方、ロシアがウクライナとの戦いで核兵器の使用をちらつかせるなど世界中で脅威は消えていません。

県原爆被害者の会「長友会」・前座明司 副会長:
「父なんかは、『まだまだこれからだ』って思うと思う。父はそういう性格だったから。なぜ今、核兵器廃絶が必要なのかということを、改めて認識していただく機会になったのではと強く期待」

課題となるのは語り手の減少。長友会の会員は2世も含め27人で、被ばく体験を伝えられる人は少なく、市民団体が聞き取りのプロジェクトを進めています。

県原爆被害者の会「長友会」・前座明司 副会長:
「父が言っていた『きょうの聞き手はあしたの語り手』っていう言葉がある。これはまさに今の状況で、ひつひとつが被爆者の願い、思いを広げるきっかけになるのでは」

2025年1月には長野市で、授賞式でスピーチをした被団協の田中煕巳さんを招いた記念講演会が予定されています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。