4月9日、韓国・ソウルの公園で満開の桜を楽しむ人々(ロイター)

韓国の桜前線も今週、ソウルを去って北上してしまった。現在のソウルの桜の名所は都心を流れる漢江の中州の汝矣島(ヨイド)で、川岸の道路が桜並木になっていて壮観だ。通り抜けですごい人出だが屋台や飲み食いは原則禁止だから清潔である。

汝矣島はビジネスビルと高層マンションが林立しているが、元は西端にある国会議事堂が中心だった。1970年代に国会議事堂ができた際、日本の親善友好団体から贈られてきた桜の苗木が実は桜並木の始まりである。反日運動が繰り返されてきたソウルで、しかも国会議事堂周辺でよく引っこ抜かれなかったものだといつも感慨深い。

ルーツ的には米国ワシントンのポトマック河畔の桜と似た背景なので汝矣島で〝日韓友好桜祭〟があってもおかしくないということになるが、そんな発想はいつ出てくるのだろう。

この時期、韓国の地方を旅するとどこも桜だらけで韓国人自身が桜祭りを楽しんでいる。南東部の古代・新羅の古都・慶州(キョンジュ)も今や桜祭りが売りの一つになっているが、筆者好みの〝韓国桜八景〟の隠しカードは南西部の群山(クンサン)市にある港が見える「月明(ウォルミョン)公園」の桜。古代・百済支援で日本軍がはせ参じた例の「白村江の戦い」の河口が望める。満開期の予想は難しいが〝韓国桜ツアー〟も捨てたものではない。(黒田勝弘)

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