米国のヘインズ国家情報長官は2日の上院軍事委員会の公聴会で、「中国の習近平国家主席と指導部が、将来的に米国との関係が一定程度不安定化すると予想している」との見方を示した。一方で、中国は国内の経済を最優先にしており、当面は米国との関係の安定を目指すだろうとも述べた。
ヘインズ氏は習氏らが「米国は中国の台頭を抑え、中国共産党の支配を弱体化させようとしていると考えている」とし、中国の指導部に米国への不信感が根強くあるとの認識を示した。
また「中国がロシアとイランとの関係を深めながら独自の多国間主義を発展させようとしている」と説明。台湾については「中国とロシアが初めて台湾に関して一緒に演習を行った。間違いなく中国がロシアに協力してほしいと望んでいる場所だと認識している」と語った。
ロシアが侵攻したウクライナを巡る情勢については、プーチン露大統領が自国経済の推移や欧州各国のウクライナ支援に関する動きなどを見て「自国に有利」な状況だと考えているとの見方を示した。その上で「プーチン氏はウクライナや米国と協議に入る意向を示しているが、大きな譲歩をする兆候はない。ロシアによるインフラ施設などへの攻勢は今後も続き、戦闘がすぐに終結することはないだろう」と述べた。
ヘインズ氏はイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘にも触れ、「戦闘が世界中の複数の勢力による暴力を活発化させている」と説明。とりわけ、国際テロ組織アルカイダと過激派組織「イスラム国」(IS)が「米国やイスラエルに対する攻撃を指示している」として警戒感を示した。【ワシントン松井聡】
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