韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領への弾劾について、反対の立場を明確にしていた与党の代表が態度を一転。「大統領の職務を停止すべき」と述べました。
■与党は一転「職務を停止すべき」
この記事の写真 与党『国民の力』 ハン・ドンフン代表 「大統領が政治家を逮捕するために情報機関を動員した事実を、信頼できる根拠を通じて確認しました。国と国民を守るため、大統領の早急な職務行停止が必要」与党議員108人のうち、8人が造反すれば、弾劾訴追案は議決される公算です。
早速、1人目の造反議員が。
与党『国民の力』 チョ・キョンテ議員 「私たち政治家が歴史の前で罪人になってはいけない。大統領の職務停止を速やかに行わなければ。良心的な『国民の力』の党員が、たくさん存在すると思っています。早急に、この事態を終わらせて、大統領の資格を剥奪すべき」ただ、多くの与党議員は慎重な態度です。
与党『国民の力』 ソン・ソクジュン議員 「私は党の一部で、議員団の一部。どうのこうの言う立場ではありません」 与党『国民の力』 ウ・ジェジュン議員 「まだ説明できない。申し訳ないです」慎重なのは、この後に大きな動きが控えていたからと思われます。官邸で行われた与党のハン代表と、尹大統領の極秘会談です。
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■野党は“国会入り”阻むため集結その後、国会前が急に慌ただしくなる一幕がありました。尹大統領が国会に向かっているという情報を受け、周辺では、市民らが大統領退陣を求める声を上げました。
危険と判断されたのでしょうか。大統領室は「尹大統領は国会に来ない」と発表しました。
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■非常戒厳の目的は“政敵排除”かハン代表は、現地メディアに、大統領との会談内容を明かしました。
与党『国民の力』 ハン・ドンフン代表 「大統領に『長い時間が過ぎたし、直接、説明すべきだ』と要求しましたが“まだタイミングではない”と判断しているようです。私は、大統領が職務を停止すべきだという考えに変わりはありません。大統領から、この判断を覆すほどの言葉は聞かれなかった」弾劾阻止の姿勢だった与党トップが、なぜ態度を翻したのか。
尹大統領が逮捕しようとした政治家に、ハン代表の名前もあったのです。
6日、国会の委員会で、国家情報院がこんな発表をしています。
国家情報院の発表 「尹大統領は、戒厳令を発令した直後、国家情報院の第1次長に電話をかけ、『この機会に全員、捕まえて片付けろ』と指示した。逮捕対象者リストには、ウ・ウォンシク国会議長、『共に民主党』のイ・ジェミョン代表、『国民の力』のハン・ドンフン代表らの名前があった」戒厳令の目的は、政敵の排除だったのでしょうか。
韓国メディアは、兵士たちが、与野党のトップの部屋に入ろうとしている様子を、国会の防犯カメラが捉えていたと報じています。
国会内に入った戒厳軍の兵士も、こう証言しています。
戒厳軍兵士 「就寝しようとしたところ、説明もなく国会に行かされて、部隊長から出た命令は『国会議員をすべて連れ出せ』でした。それ以上の命令はなく、中で右往左往しただけでした」与党内は、2つの勢力が競い合っています。
4月の総選挙で惨敗し、政権運営も行き詰まっていた中です。野党のみならず、同じ与党の政敵を排除することで、打開を測った可能性があるのです。
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■戒厳軍 選挙管理委員会にも派兵さらに、戒厳令発出後に、軍が国会だけでなく、ある別の場所に向かったことも、同じ理由だと指摘されています。ソウル近郊にある中央選挙管理委員会です。
戒厳令を尹大統領に進言したとされるキム前国防相が、ハンギョレ新聞の取材にこう答えたそうです。
キム・ヨンヒョン前国防相 「多くの国民が不正選挙に対して疑念を抱いており、その疑念を解消するために必要な措置を取ったものだ」選挙とは、今年4月に行われた総選挙を指しているといいます。
つまり、尹大統領は、与党が惨敗し、政権がレームダックに陥ったのは、不正選挙のせいだと主張するために、選挙管理委員会で証拠をおさえようとしていたというシナリオが報じられています。
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■与党議員総会 今夜9時から再開6日夜、韓国検察の最高位が、特別捜査本部の設置を発表しました。軍の検察も加わることから、内乱罪の捜査に着手したことを意味しています。
与党は、今後の対応を決めるため、午前11時から国会内で議員総会を行いました。8時間が経過した午後7時、やっと終わったと思いきや、午後9時から再開されました。
党全体の方針としては、「弾劾は求めない」といいますが、尹大統領が辞任の意向を見せなければ、造反議員はもっと出てくるとみられます。
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