パラグアイの国旗=ゲッティ

 南米パラグアイ外務省は5日、台湾と断交するよう働きかけて内政に干渉したとして、中国の外交官に国外退去を命じたと発表した。パラグアイは台湾と外交関係を持つ12カ国の一つで、南米では唯一。ロイター通信などが報じた。

 報道によると、外交官は首都アスンシオンで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会に出席する中国代表の一員として入国。だがユネスコの会議を欠席し、国会で親中派の野党議員と面会。中国と外交関係を持てば経済的なメリットが大きいと主張し、「『中国も台湾も』という選択肢はない。中国か台湾かだ」と働きかけたという。

 パラグアイ外務省は、外交官が認められた訪問目的と異なる活動に従事したとして査証(ビザ)を取り消した。

 台湾の駐パラグアイ大使館は「パラグアイと台湾の強い友好関係を破壊しようとした」と批判する声明を発表した。

 パラグアイは1957年に台湾と外交関係を樹立。中南米でも中国の外交攻勢を受けて台湾との断交を選ぶ国が相次ぐ中、台湾にとって貴重な存在になっている。

 2023年の大統領選では中道右派の与党候補、サンティアゴ・ペニャ氏が中国との国交樹立を示唆する野党候補らを破り当選。だが主要作物の大豆の輸出拡大などを念頭に、中国との関係強化を求める声もくすぶっている。【台北・林哲平】

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