韓国の保守系与党「国民の力」の韓東勲(ハンドンフン)代表は6日午前に開いた党緊急会議の冒頭、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が3日夜に「非常戒厳」を宣布した際に、主要政治家の逮捕を指示したと明らかにした。韓氏は「新たに明らかになった事実を考えると、韓国と韓国国民を守るために速やかな大統領の職務執行停止が必要だと判断する」と述べた。
国会では尹氏に対する弾劾訴追案が7日に採決される。韓氏が弾劾案への賛成を示唆したことで、可決の可能性は高まった。弾劾案が可決されれば、大統領の職務は停止する。与党は5日時点で弾劾に反対する立場を取ってきたが、6日午前、議員総会を開催する。弾劾案の賛否について再度、協議するとみられる。
仮に国民の力の議員108人のうち8人以上が弾劾案に賛成すれば可決され、尹氏は職務停止となる。韓氏が弾劾訴追案に賛成票を投じる場合、与党内で何人が韓氏に従うかがカギとなる。韓国メディアは10月時点の与党内の勢力図として尹氏に忠誠心を持つ議員が30~40人、韓氏に近いのは20人と報じている。4日未明に国会が戒厳令の解除を要求する決議案を可決した際、賛成した与党議員は18人だった。
韓氏は党緊急会議で、尹氏が大統領職を続けた場合「今回の非常戒厳のような極端な行動を再び行う可能性が高く、国民を危険に陥れる恐れが大きい」と説明した。
韓氏が明かした「政治家逮捕計画」によると、尹氏が高校の後輩でもある呂寅兄・韓国軍防諜司令官に対し、「反国家勢力」との理由で政治家を逮捕し、さらにソウル近郊の果川市にある収監施設に収容しようとしたという。韓氏は、信頼できる根拠のある情報だと述べた。韓氏は、こうした計画が「今後、さまざまな形で公開されると思う」とも指摘した。
弾劾案の可決には、国会の在籍議員300人のうち3分の2に当たる200人以上の賛成が必要。野党と無所属を合わせても192人と8人足りず、与党から8人以上の「造反」が出るかが焦点だった。韓氏は尹氏と距離があるとみられている。
ただ与党内には同じ保守系の朴槿恵(パククネ)大統領(当時)が2016年に弾劾された際、保守系与党・セヌリ党が弾劾案の採決を巡る対立などで分裂した経緯があり、「大きなトラウマ(与党議員秘書)」になっているとされる。与党内の尹氏に近い議員が今後、巻き返しを図る可能性もある。
韓氏に近い趙慶泰議員は6日、韓国メディアに対し「私個人としては、大統領の職務停止を早くせねばならないと思う。その言葉にすべてを含んでいる」と述べ、弾劾案に賛成する意向を示した。【ソウル日下部元美、福岡静哉】
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