石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国でつくる「OPECプラス」は5日、閣僚級会合をオンラインで開いた。有志国8カ国による日量220万バレルの自主減産については、減産幅の縮小開始時期を2025年1月から4月へと延期することを決めた。低迷する原油価格を下支えするとともに、化石燃料の増産を唱えるなど、不確定要素が多い米国のトランプ次期大統領就任後の原油価格への影響を見定めたい考えとみられる。
OPECプラスは世界需要の5%を超える日量586万バレルの減産を続けている。このうち、サウジアラビアやロシア、アラブ首長国連邦(UAE)など8カ国が実施している日量220万バレルの自主減産については前回6月の会合で、24年10月から段階的に減産幅を縮小することを決めた。しかし原油価格は中国の景気減速懸念などから低迷し、これまでに2度延期している。一方、加盟国による日量200万バレルの協調減産は期限を25年末から26年末まで延長すると決めた。
今回の延期は、原油安に加えて来年1月に就任するトランプ大統領の存在も影響したとみられる。トランプ氏は自国の化石燃料の増産を訴えていて供給の上振れが予想されている。ただ、産油国であるイラン制裁を強化することで供給を引き締める可能性も指摘され、政策が原油価格にどう作用するのかが読みづらい状況となっている。
そのため、英フィナンシャル・タイムズが会合前に「堅実な行動としては、状況を見守り、もう四半期待つことだ」という専門家のコメントを伝えるなど、様子見ムードが広がっていた。
足もとの原油価格は、国際的な指標となるニューヨーク原油先物相場では、米国産標準油種(WTI)が1バレル=70ドル前後で推移し、4月に付けた年初来最高値の87ドル台から2割近く安い水準となっている。【ブリュッセル岡大介】
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