東京-北京フォーラムの開会式であいさつする岩屋毅外相=東京都港区で2024年12月4日午前9時6分、畠山哲郎撮影

 日中の専門家約100人が、両国が直面する課題を議論する「第20回東京-北京フォーラム」(言論NPO、中国国際伝播集団主催)の開会式が4日、東京都内で行われた。

 日中の有識者15人が「世界の紛争解決と平和構築に日中はどう取り組むのか」をテーマに議論した4日午後の特別分科会では、ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザ地区で続く紛争を国連が止められない現状に、「新たな紛争解決のメカニズム」創設を求める声が日中双方から上がった。国際情勢の現状認識については、日中有識者の見方に共通項もあることが浮かび上がった。

 言論NPOと中国国際伝播集団が2日に発表した第20回日中共同世論調査の結果では、世界の紛争や緊張の原因として「核保有国で、国連安全保障理事会の常任理事国でもある国が他国を侵略し、かつ核使用の威嚇を行うなど、これまで考えられなかった事態を世界が止められないこと」を選んだ人が日本側で32・0%、中国側で41・0%に上り、いずれも最多となった。ロシアによるウクライナ侵攻が国際情勢を悪化させたとの見方は、日中に共通して多い。

 分科会でも、呉海竜・中国公共外交協会会長は、国連総会や安保理が本来の役割を果たせず、現状では「国際的な紛争解決のメカニズムがない」と指摘。ロシアの名指しは避けたが、「安保理常任理事国が紛争当事者となっていることが背景にある」と強調した。

 これに対し神余隆博・元国連大使は「アジア太平洋地域で何か起こった場合に国連が機能しなければ大国同士の直接衝突になる可能性がある。この地域で国連以外の紛争解決のメカニズムが必要だ」と主張した。

 中国の崔天凱・元駐日大使もこれに呼応し「日中がアジア太平洋地域で紛争が起きないようにするために協力することが最も重要だ。日中の戦略的互恵関係はその責任がある」と指摘した。【畠山哲郎】

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