ろうそくを手に、尹錫悦大統領の退陣を求める市民ら=ソウル市中心部で2024年12月4日午後6時14分、福岡静哉撮影
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 韓国の首都ソウル中心部で4日夜、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の退陣を求める集会が開かれた。大勢の市民らが会場に詰めかけ、ろうそくを手に「尹錫悦は退陣せよ」「弾劾しろ」などと叫んだ。

 尹氏は3日夜、来年の予算案などに合意しない野党の対応を「明白な反国家行為だ」と批判し、「非常戒厳」を宣布。しかし韓国国会が非常戒厳令の解除を要求する決議案を可決したことを受け、4日未明に解除された。

 尹氏による強権発動は大きな混乱を招き、市民からは弾劾を求める声が強まっている。

地面に置かれた、尹錫悦大統領を批判するビラ。「憲政を破壊している」などと政権打倒を訴えている。尹氏のヘアスタイルは、1979年に戒厳令を出した全斗煥元大統領のイメージに改変されている=ソウル市中心部で2024年12月4日午後5時28分、福岡静哉撮影
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 4日のろうそく集会に参加したソウル市の会社員、朴建さん(46)は「ただ自分の悪い部分を隠すために非常戒厳令を出したとしか思えない。朴槿恵氏に続き、我々が選んだ大統領を2度も引きずり下ろさねばならないのは恥ずかしいが、我慢の限界を超えた」と語った。

 最大野党「共に民主党」など野党6党は4日午後、戒厳令の発令は憲法違反だとして、弾劾訴追案を国会に提出した。弾劾訴追案が可決されたうえで、憲法裁判所が非常戒厳令を違憲と判断すれば、尹氏は罷免される。

 韓国では2016年、親友による国政介入を許した朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)に対し、国会が圧倒的多数で弾劾訴追案を可決。その後、朴氏は失職した。この際、朴氏の弾劾を要求する大規模な「ろうそく集会」が毎週、開催された。【ソウル福岡静哉】

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