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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜、「非常戒厳」を宣言したが、韓国の国会は直ちに「解除要求」を決議して解除された。

■「非常戒厳」で韓国混乱 発令から解除までの経緯

尹大統領「非常戒厳」発令の経緯 この記事の写真

 「非常戒厳」出された経緯を見ていく。

 尹大統領は韓国全域に「非常戒厳」を宣言。これを受けて、戒厳司令部は一切の政治活動を禁止し、言論や出版を統制するなどと表明した。

 与党「国民の力」のハン・ドンフン代表は「戒厳令の宣言は間違っている。国民と共に阻止する」との声明を発表。最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は「違憲で反国民的な戒厳宣言」だと批判し、国民に国会に集まるよう呼び掛けた。

 その結果、戒厳令に反対する市民が多く集まり、警官らと衝突した。

 そして、戒厳司令部の軍人らが出入りを統制するなか、4日未明、尹大統領を支える与党も含めて本会議場に集まった国会議員190人全員が賛成し、「解除要求」が決議された。

 午前5時ごろ、尹大統領が「非常戒厳を解除する」と発表し、軍も国会から撤収させた。

■ねじれ国会や支持率低迷…尹大統領、追い込まれ窮地

追い込まれた尹大統領

 尹大統領は、議会選挙で敗れるなどして追い込まれていた。

 4月の総選挙で与党が大敗し、現在は最大野党「共に民主党」が170議席で、与党「国民の力」は108議席にとどまっていて、野党が過半数を占める「ねじれ現象」が続くことになっていた。

 支持率も低迷を続けていて、世論調査会社「韓国ギャラップ」が11月29日に発表した調査では、尹大統領を「支持しない」という人は72%。「支持する」という人は19%となっていた。

 支持率が低迷するなかで、尹大統領に退任を求める声が続々と上がった。

 尹大統領の母校・ソウル大学の教授ら525人が「税収減や経済成長率の下落など政府の度重なる失政の根本には、権力の私物化と乱用がある」として、11月28日に「民主主義を拒否する大統領を拒否する」と辞任を要求した。

 さらに「朝日新聞デジタル」によると、弾劾訴追を求める請願の賛同者は7月時点で100万人を超えていたという。

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■株価操作や高級バッグ…尹大統領夫人に疑惑浮上

■株価操作や高級バッグ…尹大統領夫人に疑惑浮上

キム・ゴンヒ夫人をめぐる疑惑

 さらに、妻を巡る疑惑も追及されていた。

 尹大統領夫人であるキム・ゴンヒ氏には、知人の会社の株価操作に関与した疑惑や、不法に高級ブランドバッグを授受した疑惑、ソウルーヤンピョン間の高速道路で路線変更を巡る疑惑、選挙の公認を巡る介入疑惑などが指摘されていて、これら大統領夫人のスキャンダルで政権への逆風は強まっていた。

 さらには、最大野党「共に民主党」はキム夫人を巡る疑惑などを政府から独立した特別検察官に捜査させる法案、通称「キム・ゴンヒ特検法」の成立を目指していて、12月10日に採決される予定だった。

■韓国大統領の罷免事例 過去には朴槿恵氏が失職

韓国大統領の弾劾・罷免

 戒厳令を発令しながらも議会に解除されてしまった尹大統領だが、今後弾劾(だんがい)される可能性はあるのだろうか。

 過去に韓国で大統領が弾劾・罷免(ひめん)されたのは2017年、朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)。

 親友が国政に介入した事件を巡って国会で弾劾が可決され、韓国の憲法裁判所が「朴大統領の弾劾は妥当」と判断したことで、韓国史上初めて大統領が罷免された。

 韓国の憲法では大統領に職務違反や不正などがあった場合、国会の弾劾で罷免が可能になる。弾劾訴追案の発議には議員300人の過半数の賛成が必要で、可決には3分の2以上の賛成が必要になる。

 可決した場合、大統領の職務は停止され、180日以内に憲法裁判所が弾劾の可否を判断する。裁判所の所長を含む9人のうち6人以上が賛成すれば弾劾は確定し、大統領は罷免される。

 ちなみに朴元大統領の場合は、決議からおよそ3カ月で失職となった。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年12月4日放送分より)

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