米東部デラウェア州の裁判所は2日、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の560億ドル(約8兆3000億円)の報酬パッケージを認めるよう求めたマスク氏側の訴えを却下し、「無効」との判断を示した。無効判断は今年1月に続き2度目。前回の司法判断の後、テスラ側は6月の株主総会で報酬案を再承認したが、裁判所は主張に「致命的な欠陥がある」として再び却下した。
裁判所は意見書で、株主総会の再承認を根拠とするマスク氏側の主張について、「裁判後に作成した証拠に基づき自らに不利な判決を翻すのは手続き上、問題がある」「仮に株主投票が有効だったとしても、委任状に複数の重大な虚偽記載がある」などと批判。「少なくとも四つの致命的な欠陥がある」として見直し要求を退けた。
裁判所は1月、2018年にテスラの株主総会で承認された報酬は不当に過剰と訴える一部株主の主張を支持し、「マスク氏側は報酬の公正性を証明する責任を果たしていない」との判断を示した。
マスク氏側はこれを不服として、6月に改めて報酬案の妥当性を株主総会に諮り、賛成多数で承認を得たことを受けて裁判所に判断を見直すよう求めていた。
この報酬は米企業のCEOとして史上最高額。実際に支払われるかどうか注目を集めていた。【ワシントン大久保渉】
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