11月の米大統領選は、共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス副大統領に勝利した。選挙戦では「リベラルな民主党」対「保守の共和党」という構図が注目されたが、19世紀は全く逆の状況だった。
当時、民主党は奴隷制を支持し、南部や西部の農村部が支持基盤だった。これに対し、共和党は奴隷制に反対で都市部で支持を得ていた。20世紀に入り、米国が世界最大の経済大国に成長し都市部と農村部で貧富の格差が拡大すると、共和党は「大きな政府」を掲げ、労働者の保護に力を入れた。
民主党も1933年、世界恐慌から立て直すために、フランクリン・ルーズベルト大統領が「ニューディール政策」を打ち出す。公共事業や社会保障を拡充し、「リベラル」と呼ばれるようになった。
70年代になり、共和党には、公民権法など民主党のリベラルな政策に反対する人たちが集まり、さらにレーガン大統領の下で、規制緩和や減税、軍備増強などが進んだ。現在につながる「リベラルな民主党」対「保守の共和党」という構図が出来上がった。
そして今回の選挙戦では、トランプ氏は白人の労働者層に加え、ヒスパニックや黒人男性といった少数派でも支持を広げることに成功した。
米エール大のダニエル・マルティネス・ホーサン教授(政治学)は「民主党としては、とりわけ経済面で、人々の不安や不満をしっかりと解決できる党だと認識されなければいけない。それができれば、少数派も含めて一定数の有権者を取り返すことにつながるだろう」と指摘する。【ワシントン松井聡】
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